Nano Banana 2で建築パースを編集する方法|既存画像の修正・素材変更・リフォームを実例で解説
更新日:9月26日

「建築パースの外壁だけを別の素材に変えたい」
「完成したパースを昼から夜に変更したい」
「既存住宅をリフォームしたら、どのような外観になるのか確認したい」
と思ったことはないでしょうか。
Googleの画像生成AI「Nano Banana 2」は、新しい画像を生成するだけでなく、既存画像をもとに素材や色を変更したり、植栽などの要素を追加したりする画像編集にも対応しています。
たとえば、白い外壁を木材に変更する、玄関まわりに植栽を追加する、昼のパースを夕景に変更するといった編集を、画像をアップロードして文章で指示できます。またGeminiでは、画像上に描画や注釈を加え、変更したい場所を指定することも可能です。
本記事では、Nano Banana 2の基本的な使い方を理解している方を対象に、既存の建築パースを編集する方法を、実際のBefore・Afterとプロンプト例を交えて解説します。素材や色の変更、要素の追加、時間帯や天候の変更、リフォームイメージの作成に加え、元画像のデザインや構図をできるだけ維持するための指示の出し方も紹介します。
さらに実践編では、Nano Banana 2で編集した建築パースを活用して、Google スライドで建築プレゼン資料を作成する方法も紹介します。オフィスやクリニック、低層マンション、店舗を例に、Before・Afterや複数のデザイン案を比較しながら、クライアントへの提案資料としてまとめる流れまで解説します。
Nano Banana 2を初めて使う方は、まず「Nano Banana 2で建築CGパースを作る方法」「Nano Banana 2で内装デザインを作る方法」をご覧ください。
なお、Nano Banana 2は建築設計専用のCAD・BIMソフトではないため、編集した画像が正確な寸法や構造、施工条件を反映しているとは限りません。また、指定箇所以外が変化する場合もあります。本記事では、建築パースの完成イメージやデザイン案を検討するための編集ツールとして活用する方法から、プレゼン資料への展開、うまく編集できない場合の対処法まで紹介します。
CONTENTS
Nano Banana 2で建築パースはどこまで編集できる?
Nano Banana 2では、新しい建築パースを生成するだけでなく、すでに作成した建築パースや手持ちの画像をもとに編集することができます。
たとえば、「建物の形は気に入っているけれど、外壁の素材だけ変更したい」「昼間のパースを夕景にしたい」といった場合に、元画像をアップロードして変更したい内容をプロンプトで指示できます。

建築パースの編集では、主に次のような変更ができます。
外壁・屋根・床などの素材を変更する
外壁や建具などの色を変更する
植栽・家具・人物・車などを追加する
不要なものを削除する
昼・夕方・夜など時間帯を変更する
晴れ・曇りなど天候を変更する
外構やエントランスまわりを変更する
既存住宅の外観をリフォームしたイメージを作る
Googleの公式ヘルプでは、Nano Banana 2でGeminiが生成した画像を編集できるほか、自分で用意した画像をアップロードして編集したり、複数の画像をアップロードして、それらをもとに新しい画像を作成したりできると案内されています。
そのため、建築パースそのものに加えて、「この木材の質感を参考に外壁を変更したい」といった場合に、参考画像を組み合わせながらイメージを作る方法もあります。
新しく作るのではなく「元画像をどう変えるか」を考える
建築パースをゼロから生成するときと、既存の建築パースを編集するときでは、プロンプトの考え方が少し異なります。
新しく画像を作る場合は、建物の用途やデザイン、素材、構図、周辺環境などを指定します。
一方、既存画像を編集する場合に重要なのは、
「どこを変更するか」+「どのように変更するか」+「何を維持するか」
を明確にすることです。

では、実際に編集してみましょう。

たとえば、外壁だけを変更したい場合は、
プロンプト例
正面の白い外壁だけを、明るいブラウンの天然木の縦張りに変更してください。建物の形状、窓やドアの位置・大きさ、屋根、床、植栽、周囲の景観は元画像のまま維持してください。カメラアングルと構図も変更しないでください。のように指示します。
「木の外壁にしてください」だけでなく、変更する場所と残したい部分を分けて伝えるのがポイントです。


デザインの比較やリフォームのイメージづくりにも使える
既存画像を編集できるため、同じ建築パースをベースに複数のデザインを比較することもできます。
たとえば、同じ住宅の外壁を「白い塗り壁」「天然木」「ダークグレーのサイディング」に変更して比較したり、外構や植栽だけを変えて異なるプランを作ったりできます。
また、既存住宅の写真やパースをもとに、外壁、玄関、窓まわり、外構などを変更して、リフォーム後のイメージを検討する使い方もできます。
ただし、Nano Banana 2による編集はCADやBIMのように建築データそのものを書き換えるものではありません。生成された画像をデザインの検討や完成イメージの視覚化に活用し、正確な寸法や構造、施工条件などは元の設計データで確認する必要があります。
Nano Banana 2で建築パースを編集する基本手順

ここからは、実際にNano Banana 2を使って既存の建築パースを編集してみましょう。
Nano Banana 2では、Geminiで生成した画像をそのまま編集するほか、自分で用意した建築パースをアップロードして編集することもできます。
基本的な流れは、「元画像を用意する→変更したい内容を伝える→生成結果を確認する→必要に応じて追加修正する」です。
ここでは、既存の住宅パースの外壁素材を変更する例を使って手順を紹介します。
STEP1:編集したい建築パースをアップロードする

まずGeminiを開き、

「画像」を開き、編集したい建築パースをアップロードします。「チャット」を選択すると、プロンプトを入力して編集できます。


STEP2:変更したい内容をプロンプトで入力する
次に、画像のどこをどのように変更したいのかを入力します。
たとえば、低層マンションのエントランス横にある石張りの外壁を木材に変更する場合は、次のように指示します。
プロンプト例
1階中央のエントランス右側にある石張りの外壁だけを、明るいナチュラルブラウンの天然木の縦張りに変更してください。建物の形状、窓やバルコニーの位置・大きさ、エントランスドア、その他の外壁、外構、植栽、周囲の景観は元画像のまま維持してください。カメラアングルと構図も変更しないでください。編集では、「木の外壁にしてください」のように変更内容だけを伝えるよりも、変更する場所・変更後の状態・維持する部分を分けて伝えるのがポイントです。



STEP3:元画像と編集後の画像を比較する
画像が生成されたら、変更を指示した部分だけでなく、画像全体を確認します。

今回の例なら、指定した外壁が希望した木材に変更されているかを確認するとともに、「建物全体の形状が変わっていないか」「窓やバルコニーの位置・大きさが変わっていないか」「エントランスや外構が変化していないか」「植栽や周辺環境が変わっていないか」「カメラアングルや構図が維持されているか」なども元画像と比較します。
STEP4:追加のプロンプトで調整する
編集結果がイメージと少し違う場合は、生成された画像に追加の指示を出して調整します。
たとえば、木材の色が濃すぎた場合は、
追加プロンプト例
エントランス右側の木材を、もう少し明るいナチュラルブラウンにしてください。木材の色以外は変更しないでください。といった形で修正できます。


一度に複数の場所を変更するよりも、「外壁を変更する」「色を調整する」「植栽を追加する」というように、結果を確認しながら段階的に編集すると、変更箇所を把握しやすくなります。
STEP5:必要な編集を繰り返す
外壁の編集が終わったら、必要に応じて別の部分も調整していきます。
たとえば、「エントランスまわりに植栽を追加する」「アプローチを石張りに変更する」「昼間から夕方の景色に変更する」など、同じ建築パースをベースに追加の編集を行えます。

ただし、編集を繰り返して元画像から大きく変化してきた場合は、途中の画像をさらに修正し続けるだけでなく、元画像に戻って改めて必要な変更を指定する方法もあります。
まずはこの基本的な「画像+プロンプト」による編集方法を覚えておきましょう。
Nano Banana 2を建築実務で活用する編集テクニック

基本的な画像編集に慣れてきたら、次はNano Banana 2を単なる「画像修正ツール」ではなく、建築デザインの比較やプレゼンテーションを効率化するツールとして活用してみましょう。
建築実務では、完成した1枚のパースを作るだけでなく、「外壁の候補を比較したい」「同じ建物で複数のデザイン案を見せたい」「クライアントから指定された素材を反映したい」といった場面があります。
Nano Banana 2では、既存画像の編集や複数の参考画像を組み合わせることで、このようなデザイン検討用のビジュアルを作成できます。
同じ建築パースからデザイン案を展開する
デザイン検討では、比較する条件以外をできるだけ揃えることが重要です。
たとえば外壁材を比較する場合、建物の形状や窓、外構、構図まで変わってしまうと、素材そのものの違いを比較しにくくなります。
そこで、ひとつの元画像をマスターとして使用し、変更する条件だけを変えて複数の案を作成します。

この元画像から、外壁だけを変更したA案・B案・C案を作成します。
A案:天然木
この住宅パースをデザイン検討用のマスター画像として使用してください。
正面の白い外壁だけを、明るいナチュラルブラウンの天然木の縦張りに変更してください。
建物の形状、窓やドアの位置・大きさ、屋根、その他の外壁、外構、植栽、周辺環境、光の状態、カメラアングル、構図は変更しないでください。
B案:グレーのタイル
この住宅パースをデザイン検討用のマスター画像として使用してください。
正面の白い外壁だけを、マットな質感のダークグレーの大判タイルに変更してください。
建物の形状、窓やドアの位置・大きさ、屋根、その他の外壁、外構、植栽、周辺環境、光の状態、カメラアングル、構図は変更しないでください。
C案:白い左官仕上げ
この住宅パースをデザイン検討用のマスター画像として使用してください。
正面の白い外壁だけを、わずかな凹凸のある白い左官仕上げに変更してください。
建物の形状、窓やドアの位置・大きさ、屋根、その他の外壁、外構、植栽、周辺環境、光の状態、カメラアングル、構図は変更しないでください。

このように比較案を作成する場合は、A案をさらに編集してB案を作るのではなく、毎回同じマスター画像から派生させると、編集を重ねることによる意図しない変化を抑えながら比較できます。
実際の建材写真を使って仕上がりを検討する
文章だけで「明るい木材」「グレーのタイル」と指定すると、生成される素材はAIが解釈したイメージになります。
より具体的な仕上がりを検討したい場合は、建築パースと実際に使用したい建材の写真やサンプル画像を一緒にアップロードします。


編集プロンプト例
添付した住宅の外観パースを編集してください。
正面の白い外壁部分だけを、一緒に添付した外壁材の画像を参考に変更してください。
添付した外壁材の色、表面の質感、目地の入り方、素材感を参考にしてください。
住宅の形状、窓やドアの位置・大きさ、屋根、その他の外壁、外構、植栽、周辺環境、光の状態、カメラアングル、構図は変更しないでください。

複数の画像をアップロードする場合は、「1枚目」「2枚目」と画像番号だけで指定するのではなく、「住宅の外観パース」「一緒に添付した外壁材の画像」のように、それぞれの画像の役割を文章で伝えます。
また、「参考にしてください」だけではなく、色・質感・目地・木目など、何を参照するのかまで指定すると目的を伝えやすくなります。
複数の参考画像から必要な要素を組み合わせる
さらに、複数の参考画像から異なる要素を取り入れて、ひとつの建築パースにまとめる方法もあります。
たとえば、
元にする住宅の外観パース
玄関ドアの参考画像
外壁材の写真
外構・植栽の参考画像
を用意し、それぞれから必要な要素だけを建築パースに反映します。


編集プロンプト例
添付した住宅の外観パースをベースに編集してください。
一緒に添付した木材の画像を参考に、建物の外壁を同じような色・木目・質感の天然木に変更してください。
添付した玄関ドアの画像を参考に、現在の玄関ドアを同じようなダークグレーのシンプルなドアに変更してください。
添付した外構の画像を参考に、玄関アプローチ沿いへ低木とグリーンを中心とした植栽を追加してください。
建物の基本形状、屋根、窓の位置と大きさ、その他の外壁、カメラアングル、構図は変更しないでください。

複数の参考画像を使用するときは、「どの画像から」「何を取り出し」「どこへ反映するのか」をそれぞれ分けて指示することがポイントです。
昼景・夕景に展開
デザインが決まったパースから、プレゼンテーション用のバリエーションを作ることもできます。
たとえば、昼景の完成パースをマスターとして保存し、同じ建物から夕景を作成します。

編集プロンプト例
この完成した住宅パースの建築デザインを維持したまま、時間帯だけを日没直後のブルーアワーに変更してください。
空を深い青色の夕景にし、室内照明、玄関照明、外構照明を自然に点灯させてください。夕方の環境に合わせて、窓ガラスへの反射や地面、植栽、外壁に当たる光も自然に調整してください。
建物の形状、外壁の素材と色、窓やドア、外構、植栽の配置、カメラアングル、構図は変更しないでください。

昼景と夕景を用意することで、同じ設計案でも自然光の状態や照明による見え方の違いをプレゼンテーションできます。
最終納品用の画像はフルサイズでダウンロードする
Nano Banana 2では、用途に合わせて画像のアスペクト比を指定できます。完成した画像をプレゼンテーション資料やWebサイトなどで使用する場合は、Gemini上に表示されているプレビュー画像をそのまま保存するのではなく、「フルサイズでダウンロード」から画像を保存しましょう。

Nano Banana 2自体は1K・2K・4Kなどの画像生成に対応していますが、GeminiアプリではAPIのように出力解像度を細かく指定して生成する操作とは異なります。APIを利用する場合は、1K・2K・4Kなどの出力サイズを指定できます。
用途 | 使い分けの例 |
デザイン検討 | 素早く複数案を作成・比較する |
クライアント確認 | 同じ構図で素材や配色の候補を比較する |
プレゼン資料 | 昼景・夕景など複数の完成イメージを用意する |
Web・ポートフォリオ | 掲載場所に合わせたアスペクト比で生成する |
最終的に使用する画像 | フルサイズでダウンロードする |
ただし、フルサイズでダウンロードしても、AIが生成した建築形状やディテールが設計データとして正確になるわけではありません。
Nano Banana 2は、設計・施工図を作成するツールではなく、デザイン案を比較し、完成イメージを視覚化するためのツールとして使い分けることが重要です。
Nano Banana 2で建築パースの精度を高めるプロンプト設計

Nano Banana 2で建築パースを編集する場合、プロンプトを長くすれば精度が上がるとは限りません。
実務で重要なのは、「何を変更するのか」と「何を変更してはいけないのか」を整理し、編集条件を明確にすることです。
特に建築パースでは、外壁の素材だけを変更したつもりでも、窓の位置や建物の形状、外構、カメラアングルなどが変化すると、元の設計案との比較が難しくなります。
そこで、編集プロンプトを次の4つの要素に分けて考えます。
要素 | 指定する内容 | 例 |
編集対象 | どこを変更するか | 玄関ドア左側の白い外壁 |
変更内容 | どのように変更するか | 天然木の縦張りに変更 |
固定条件 | 何を維持するか | 建物形状、開口部、屋根、構図 |
許容条件 | 変更に伴って調整してよいもの | 素材に生じる反射や陰影 |
編集対象は建築要素で具体的に指定する

「右側の壁」「奥の窓」のような表現は、人間にはわかりやすくても、画像上の位置関係によって解釈がずれることがあります。
建築パースでは、できるだけ建築要素や周囲との位置関係を使って編集対象を特定します。
たとえば、
「画像右側の白い壁」
ではなく、
「1階中央の玄関ドアに隣接する白い外壁面」
のように指定します。
窓であれば、「左側の窓」だけではなく、「2階のバルコニーに面した掃き出し窓」のように、階数や周囲の建築要素を組み合わせると編集対象を特定しやすくなります。
変更内容は素材・色・張り方まで分解する

素材を変更する場合も、「木の外壁にする」だけでは仕上がりの幅が広くなります。
実務でデザイン案を比較する場合は、素材名だけでなく、色や仕上げ、張り方向など、比較したい条件を具体的に指定します。

たとえば、
「木の外壁に変更してください」
ではなく、
「明るいナチュラルブラウンの天然木を使用し、細幅の板を縦張りにしてください。表面は光沢を抑えたマットな仕上げにしてください」
と指定します。



参考となる建材画像がある場合は、文章だけで素材を説明するのではなく、建築パースと一緒にアップロードして、色・木目・表面の質感・目地など、どの特徴を参考にするのかを指定する方法もあります。
固定条件を明確にする
建築パースの編集では、変更内容と同じくらい重要なのが固定条件です。
素材比較であれば、建物の形状や窓、構図まで変わってしまうと、同じ設計案として比較しにくくなります。
そのため、変更してはいけない要素を具体的に指定します。
固定条件の例
建物の基本形状、階高、屋根形状、窓とドアの位置・大きさ、バルコニー、外構、植栽、周辺環境、カメラ位置、画角、構図は元画像のまま維持してください。ただし、固定条件を増やせば必ず完全に維持されるわけではありません。生成後は元画像と比較し、設計上重要な部分が変化していないか確認します。
変更に伴って調整してよい範囲も指定する
すべてを固定すると、変更した素材だけが周囲から浮いて見える場合があります。
たとえば、白い塗り壁を木材へ変更すれば、素材の反射率や表面の凹凸が変わるため、光や影の見え方も変化します。
そこで、維持する部分とは別に、変更に伴って自然に調整してよい範囲を指定します。
プロンプト例
外壁素材の変更に伴う、木材表面の自然な反射、陰影、周囲からの光の映り込みは調整して構いません。それ以外の照明条件や周辺環境は変更しないでください。このように、固定条件と許容条件を分けることで、「元画像を維持すること」と「新しい素材を自然に見せること」の両方を指示できます。
複雑な編集は工程を分ける

外壁、窓、外構、植栽、時間帯などを一度に変更すると、どの指示によって画像が変化したのか確認しにくくなります。
実務では、変更内容を工程に分けて編集すると管理しやすくなります。
たとえば、住宅の外観を変更する場合は、
外壁素材を変更する → 玄関まわりを変更する → 外構を変更する → 植栽を追加する → 時間帯を変更する
というように、編集結果を確認しながら進めます。
途中で意図しない変化が大きくなった場合は、その画像をさらに修正し続けるのではなく、元のマスター画像や問題が起きる前の画像に戻って編集し直す方法もあります。
比較案は同じマスター画像から作成する

A案、B案、C案のように複数のデザインを比較する場合は、A案を編集してB案を作り、さらにB案からC案を作るのではなく、同じマスター画像からそれぞれの案を作成します。
マスター画像
↓A案:天然木
↓B案:ダークグレーのタイル
↓C案:白い左官仕上げ
同じ元画像から派生させることで、編集を繰り返す過程で建物の形状や構図などが少しずつ変化するのを抑えながら、デザイン案を比較できます。
建築パース用プロンプトを「仕様書」のように組み立てる
実務では、編集内容を文章で思いつくまま入力するより、必要な条件を整理してからプロンプトにすると管理しやすくなります。
たとえば、外壁材を変更する場合は次のように整理できます。
項目 | 指定内容 |
編集対象 | 1階玄関ドアに隣接する白い外壁面 |
変更内容 | ナチュラルブラウンの天然木・細幅・縦張り |
参考画像 | 添付した木材の色・木目・表面質感 |
固定条件 | 建物形状、開口部、屋根、外構、植栽、構図 |
許容条件 | 木材表面の反射、陰影、光の映り込み |
これをプロンプトにまとめると、次のようになります。
プロンプト例
添付した住宅の外観パースを編集してください。
【編集対象】
1階中央の玄関ドアに隣接する白い外壁面
【変更内容】
明るいナチュラルブラウンの天然木を使用し、細幅の板を縦張りにしてください。表面は光沢を抑えたマットな仕上げにしてください。
【参考】
一緒に添付した木材の画像から、色、木目、表面の質感を参考にしてください。
【固定条件】
建物の基本形状、階高、屋根、窓とドアの位置・大きさ、バルコニー、その他の外壁、外構、植栽、周辺環境、カメラ位置、画角、構図は変更しないでください。
【調整してよい範囲】
木材への変更に伴う、素材表面の自然な反射、陰影、周囲からの光の映り込みのみ調整してください。このように、編集対象・変更内容・固定条件・許容条件を整理してプロンプトを設計することで、単に「イメージに近い画像を作る」のではなく、元の建築パースを基準に条件を管理しながらデザインを検討しやすくなります。
Nano Banana 2で建築プレゼン資料用画像を作成する

建築パースは、完成イメージを伝えるだけでなく、複数のデザイン案を比較したり、改修前後の変化を見せたりするなど、建築プレゼン資料にも活用できます。
Nano Banana 2では、既存の建築パースや写真をもとに、素材や色、家具、照明、植栽などを変更できます。同じ画像をベースに条件だけを変えて編集すれば、A案・B案の比較やBefore/After、コンセプトの異なる複数案など、プレゼン資料に使用する画像を効率よく作成できます。
ここでは、オフィス、クリニック、低層マンション、店舗を例に、建築プレゼン資料に使用できる画像を作成してみましょう。
オフィス|内装デザインのA案・B案を比較する
オフィスのリニューアルでは、同じ空間をベースに、床・壁・家具・照明などを変更した複数のデザイン案を作成できます。
比較しやすい画像にするため、同じオフィスの内観パースをもとにA案とB案をそれぞれ作成します。空間の形状やカメラアングルを維持しながら、素材や色、家具などの条件を変えることで、デザインの違いを視覚的に比較できます。

A案:明るいナチュラルデザイン
添付したオフィスの内観パースをベースに編集してください。
床を明るいオーク材に変更し、壁はオフホワイトを基調としてください。
デスクと収納家具は明るい木材とホワイトを組み合わせたデザインに変更してください。
植栽を適度に配置し、自然光を活かした明るく開放的なオフィスにしてください。
空間の形状、天井高、柱、窓、出入口の位置と大きさ、カメラアングル、構図は変更しないでください。
B案:落ち着いたモダンデザイン
添付したオフィスの内観パースをベースに編集してください。
床をダークグレーのカーペットに変更し、壁はライトグレーを基調としてください。
デスクと収納家具はダークブラウンの木材とブラックを組み合わせたデザインに変更してください。
照明は落ち着いた印象になるよう調整してください。
空間の形状、天井高、柱、窓、出入口の位置と大きさ、カメラアングル、構図は変更しないでください。
A案とB案で同じ構図を維持することで、床や壁の色、家具、照明などによって空間の印象がどのように変わるのかを比較しやすくなります。

クリニック|受付・待合スペースのBefore/Afterを作成する
クリニックでは、既存の受付や待合スペースをベースに、改装後のイメージを作成できます。
Before/Afterとして比較する場合は、変更したい部分を具体的に指定するとともに、壁や天井、窓、出入口、カメラアングルなど、変更しない部分も明確に指定することがポイントです。

添付したクリニックの受付・待合スペースの内観パースをベースに、改装後のデザイン案を作成してください。
受付カウンターに明るいナチュラルブラウンの木材を使用してください。
壁は温かみのあるオフホワイトに変更し、床は明るいベージュグレーの素材に変更してください。
待合スペースにはベージュ系のシンプルなチェアと小さなサイドテーブルを配置し、適度にグリーンを追加してください。
照明は明るく柔らかな印象にしてください。
受付、待合スペース、通路の基本的な配置、壁、天井、窓、出入口など建築空間の基本形状は変更しないでください。
カメラアングルと構図も維持してください。元の画像と編集後の画像を並べれば、受付カウンターの素材、壁や床の色、家具、植栽など、改装による変化を視覚的に伝えられます。


低層マンション|外観改修のBefore/Afterを作成する
既存建物の外観パースをベースに、外壁やエントランス、植栽などを変更した改修イメージを作成することもできます。
ここでは、低層マンションの建物形状を維持しながら、外装と外構を変更します。

添付した低層マンションの外観パースをベースに、外観改修後のイメージを作成してください。
既存の外壁を、明るいグレージュを基調とした落ち着いた外壁に変更してください。
エントランス周辺にはダークグレーのタイルと木材をアクセントとして使用してください。
アプローチ沿いには低木とグリーンを中心とした植栽を追加し、エントランスがわかりやすく見える外構にしてください。
建物の高さ、階数、躯体形状、バルコニー、窓、玄関、階段などの位置と大きさは変更しないでください。
周辺建物、カメラアングル、構図も維持してください。建物そのものの形状を大きく変えずに、外壁カラーや素材、エントランス、植栽などを変更することで、改修前後の違いを比較するためのイメージを作成できます。


店舗|コンセプトの異なる3つの内装案を作成する
店舗では、同じテナント空間をベースに、コンセプトの異なる複数のデザイン案を作成できます。
ここでは、同じカフェの内観パースから「Natural」「Urban」「Minimal」の3案を作成します。比較条件を揃えるため、すべて同じマスター画像を使用し、空間形状やカメラアングルを維持します。

Natural
添付した店舗の内観パースをベースに編集してください。
床、カウンター、什器に明るい天然木を使用し、壁は温かみのあるオフホワイトにしてください。
観葉植物を適度に配置し、自然光を活かした明るくナチュラルなカフェ空間にしてください。
店舗の基本形状、天井、柱、窓、入口、カウンターと客席の基本配置、カメラアングル、構図は変更しないでください。
Urban
添付した同じ店舗の内観パースをベースに編集してください。
床をダークグレーに変更し、壁にはコンクリートとダークグレーを使用してください。
カウンターにはダークブラウンの木材とブラックの金属を使用し、照明をやや落ち着いた雰囲気にしてください。
店舗の基本形状、天井、柱、窓、入口、カウンターと客席の基本配置、カメラアングル、構図は変更しないでください。
Minimal
添付した同じ店舗の内観パースをベースに編集してください。
床をライトグレーに変更し、壁と天井はホワイトを基調としてください。
什器と家具は白、ライトグレー、淡い木材で統一してください。
装飾を抑え、余白を活かしたミニマルな空間にしてください。
店舗の基本形状、天井、柱、窓、入口、カウンターと客席の基本配置、カメラアングル、構図は変更しないでください。
同じ構図から3案を作成することで、素材やカラー、照明などによるコンセプトの違いを比較しやすくなります。複数案を並べて検討したい場合にも活用できます。
建築プレゼン資料用の画像を作成するポイント
複数の建築パースを比較する場合は、できるだけ同じマスター画像を使用し、カメラアングルや構図、建物・空間の基本形状を揃えることが重要です。

たとえばA案・B案では変更する素材やカラーを明確に分け、Before/Afterでは改修箇所以外をできるだけ維持します。また、複数の画像を並べて使用する場合は、アスペクト比を統一しておくとレイアウトしやすくなります。
Nano Banana 2は、既存画像をベースに自然言語で変更内容を指示しながら、繰り返し画像を調整できます。ただし、生成・編集された画像が設計図面と同じ精度を保証するわけではありません。
そのため、建築プレゼン資料ではデザイン検討や完成イメージの共有に活用し、寸法・納まり・構造・法規・施工可否などは、設計図面や専門的な検証と分けて確認することが重要です。
Nano Banana 2で建築パースを編集する際の注意点

Nano Banana 2は、既存の建築パースをもとに素材や外構を変更したり、複数のデザイン案を比較したりする際に便利です。
一方で、建築設計専用のCAD・BIMや3DCGソフトとは異なり、生成された画像が元の設計情報を正確に保持しているとは限りません。
実務で使用する場合は、見た目の完成度だけで判断せず、元画像から何が変化したのかを確認しながら使用することが重要です。

建物の形状や寸法が維持されるとは限らない
プロンプトで「建物の形状を変更しない」と指定しても、編集によって細部が変化する場合があります。
特に確認したいのは、次のような部分です。
確認する部分 | チェックする内容 |
建物形状 | 壁面、屋根、軒、バルコニーなどが変化していないか |
開口部 | 窓やドアの位置・大きさ・数が変わっていないか |
外構 | アプローチ、塀、駐車スペースなどが変わっていないか |
設備・ディテール | 照明、手すり、建具などが消えたり追加されたりしていないか |
カメラ | 視点、画角、パース、トリミングが変わっていないか |
外壁材だけを比較しているつもりでも、窓の大きさや位置まで変わっていれば、同じ設計案の素材比較とはいえません。
編集後は必ず元画像と見比べ、変更を指示していない部分まで確認します。
左右や位置関係を取り違える場合がある
画像生成AIでは、左右や複雑な空間関係を正確に認識できない場合があります。
そのため、「右側の壁を変更する」「左から2番目の窓を変更する」といった位置だけに依存した指示では、別の場所が編集される可能性があります。
建築パースでは、
「1階中央の玄関ドアに隣接する外壁」
「2階バルコニーに面した掃き出し窓」
「道路から玄関へ続くアプローチ」
のように、階数・用途・周囲の建築要素などを組み合わせて場所を指定すると編集対象を伝えやすくなります。
見た目が自然でも、建築として成立しているとは限らない
AIで生成された建築パースは、視覚的には自然に見えても、実際の設計や施工条件を満たしているとは限りません。
たとえば、リフォームイメージとして大きな窓を追加できても、実際には構造上その位置に開口を設けられない場合があります。
また、外壁材や床材を変更した場合も、実際の製品寸法、下地、目地、納まり、施工方法などが正確に再現されているとは限りません。
そのため、Nano Banana 2で作成した画像は、デザイン検討や完成イメージの共有に使用し、設計上の判断はCAD・BIM、図面、仕様書などの設計データで確認する必要があります。
参考画像と完全に同じ素材が再現されるわけではない
建材や家具などの参考画像を使用しても、その画像がそのまま建築パースへ貼り付けられるわけではありません。
Nano Banana 2は参考画像の特徴をもとに新しい画像を生成するため、色や木目、目地、形状などに差が生じる場合があります。
実在する製品を使用した完成イメージを作る場合は、AIで生成された画像だけを見て「この製品を使用した場合の正確な仕上がり」と判断しないよう注意が必要です。
特に建材では、色・柄・目地・寸法・張り方向などを元の製品写真やメーカー資料と照合することが重要です。
編集を重ねるほど元画像との差が広がる場合がある
Nano Banana 2では、生成した画像に追加の指示を出しながら編集を続けられます。
ただし、編集を何度も重ねると、変更を指示していない部分にも少しずつ変化が生じる場合があります。
たとえば、
元画像 → 外壁変更 → 玄関変更 → 外構変更 → 植栽追加 → 夕景化
と編集を続けた結果、最初の画像と比較すると窓や建物の形状、外構などが変化していることがあります。
その場合は、現在の画像をさらに修正し続けるのではなく、元のマスター画像や問題が発生する前の画像に戻り、必要な変更だけを改めて指定する方法もあります。
比較用の画像は条件を揃える

素材やデザインを比較する場合は、比較対象以外の条件をできるだけ揃えます。
たとえば、外壁材のA案とB案を比較する場合に、A案だけ空が明るくなったり、植栽が増えたり、カメラ位置が変わったりすると、純粋な素材比較が難しくなります。
比較用のパースでは、次のような条件を揃えておきます。
建物の形状
時間帯と天候
外構と植栽
周辺環境
変更対象以外の素材・色
A案、B案、C案を作る場合は、それぞれを同じマスター画像から生成し、変更する条件だけを切り替えると比較しやすくなります。
高解像度でも設計精度が高くなるわけではない
Nano Banana 2では高解像度の画像を生成できますが、画像の解像度と建築情報の正確さは別のものです。
高解像度にすると、外壁の質感や植栽、光、家具などを細かく表現できますが、窓寸法や壁厚、建材寸法、構造などが正確になるわけではありません。
プレゼンテーションやWeb掲載など、完成イメージを見せる用途では高解像度出力を活用しつつ、設計情報の確認には必ず元の図面やCAD・BIMデータを使用しましょう。
Nano Banana 2は、建築パースの修正やデザイン検討を効率化できる一方、設計データそのものを編集するツールではありません。
「ビジュアルを検討するためのAI」と「建築情報を管理するCAD・BIM」を使い分けることが、実務で活用するうえで重要です。
まとめ

Nano Banana 2を使えば、既存の建築パースをもとに、素材や色の変更、要素の追加・削除、時間帯の変更、外構やリフォームのイメージ作成など、さまざまな編集ができます。
建築パースの編集で重要なのは、変更する部分だけでなく、維持したい部分も明確に指定することです。また、実務では同じマスター画像から複数案を展開したり、参考画像を組み合わせたりすることで、素材やデザインの比較にも活用できます。
ただし、生成された画像が正確な寸法や構造、施工条件を反映しているとは限りません。元の設計データと照合しながら、デザイン検討や完成イメージを視覚化するためのツールとして活用しましょう。







