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建築パース制作へのアプローチ| 3DCGで魅せる建物のアングル

2024年1月9日
読了時間: 11分

更新日:4 日前


建築パースでは、建物や空間を「どの位置から、どのように見せるか」によって、完成したビジュアルの印象が大きく変わります。


同じ建物でも、視点の高さやカメラアングル、焦点距離を変えることで、建物の高さや奥行き、空間の広がり、デザインの特徴など、強調される要素は異なります。


そのため建築パース制作では、単に建物全体が見える位置にカメラを配置するのではなく、「何を見せたいのか」「どのような印象を伝えたいのか」を考えながらアングルを決めることが重要です。


また、アングルだけでなく、焦点距離や遠近法、構図、光の取り入れ方なども、建築パースの見え方を左右します。


この記事では、建築パースを制作する際に知っておきたいアングルの考え方をはじめ、基本的なカメラアングル、焦点距離、遠近法、構図などについてわかりやすく解説します。



建築パースでアングルが重要な5つの理由


建築パースを制作する際、最初に考えておきたいのが「どの位置から建物や空間を見せるか」というアングルの設定です。


同じ建物を同じ3Dモデルから描いた場合でも、カメラの位置や高さ、向きを変えるだけで、建物の見え方や伝わる情報は大きく変わります。


そのため、建築パースでは制作の目的や見せたいポイントを整理したうえで、適切なアングルを設定することが重要です。



理由1:見せたいポイントを明確に伝えられる

建築パースには、建物の外観を見せる、空間の広がりを伝える、特徴的なデザインを強調するなど、さまざまな目的があります。


アングルを決める際は、まず「このパースで何を見せたいのか」を明確にすることが大切です。たとえば、建物全体を見せたい場合と、エントランスやファサードなど特定の部分を印象的に見せたい場合では、適したカメラ位置や画角も異なります。


理由2:制作途中の大きな修正を減らせる

アングルを十分に検討しないまま制作を進めると、モデリングやマテリアル、ライティングなどを作り込んだ後に、「見せたい部分が伝わらない」「構図を変更したい」といった問題が生じることがあります。


早い段階でアングルを検討しておくことで、画面に必要な範囲や重点的に作り込む部分を把握しやすくなり、後工程での大きな修正を減らすことにつながります。


理由3:建物の印象をコントロールできる

カメラの高さや向きによって、建築物から受ける印象も変化します。

低い位置から見上げれば高さや存在感を強調しやすく、高い位置から見下ろせば建物全体の形状や周辺との配置関係を見せやすくなります。


このようにアングルは、単に建物を画面に収めるための設定ではなく、建築物をどのような印象で見せるかをコントロールする表現手段でもあります。


理由4:周辺環境との関係を伝えられる

建築パースでは、建物そのものだけでなく、道路や植栽、隣接する建物、広場など、周辺環境との関係を見せることも重要です。


建物を大きく捉えるアングルだけでなく、必要に応じて周囲まで画面に含めることで、建物の配置やスケール、街並みとの関係性を視覚的に伝えることができます。


理由5:見る人の視線を誘導できる

アングルや構図を工夫することで、建築パースを見る人の視線を、伝えたい場所へ自然に誘導できます。


建物の輪郭や床・壁のライン、道路、家具などの配置を利用すると、エントランスや特徴的なファサード、室内の奥行きなどへ視線を導くことができます。


「どこから見るか」だけでなく、「画面の中でどこを見てもらいたいか」まで考えてアングルを設定することが、伝わりやすい建築パースを制作するポイントです。



基本的なアングル3種


建築パースでは、カメラをどの高さに設定し、建物をどの方向から捉えるかによって、建物や空間の印象が大きく変わります。


代表的なアングルには、低い位置から見上げる「ローアングル」、人の目線に近い高さから見る「水平アングル(アイレベル)」、高い位置から見下ろす「ハイアングル」があります。

それぞれの特徴を理解し、建築パースで伝えたい内容に合わせて使い分けることが重要です。


アングル

カメラ位置・視点

特徴

向いている表現・用途

ローアングル

低い位置から建物を見上げる

高さや垂直方向への広がりを強調し、迫力や存在感を表現しやすい

高層建築、特徴的なファサード、建物を印象的に見せたい外観パース

水平アングル(アイレベル)

人の目線に近い高さから見る

実際にその場所に立っているような自然なスケール感や奥行きを表現しやすい

住宅外観、エントランス、インテリア、店舗など幅広い建築パース

ハイアングル

高い位置から建物や空間を見下ろす

建物全体の形状や、敷地・道路・植栽・周辺環境との配置関係を把握しやすい

敷地全体、複数棟の計画、大規模施設、周辺環境との関係を見せるパース


ローアングル|建物の高さや存在感を強調する


ローアングルは、低い位置にカメラを設定し、建物を見上げるように捉えるアングルです。


建物の高さや垂直方向への広がりを強調しやすく、迫力や存在感のあるビジュアルを表現できます。高層建築や特徴的なファサードなど、建物そのものを印象的に見せたい場合にも活用できます。


一方で、カメラを極端に低くしたり広角で撮影したりすると、遠近感が強調され、実際の建物とは異なる印象になる場合があります。建物の形状や用途に合わせて、カメラ位置や焦点距離を調整することが大切です。


水平アングル(アイレベル)|実際に見る感覚に近い空間を表現する


水平アングルは、人の目線に近い高さにカメラを設定して建物や空間を捉えるアングルです。建築パースでは「アイレベル」と呼ばれることもあります。


実際にその場所に立って建物を見ているような感覚を表現しやすいため、住宅の外観やエントランス、インテリア、店舗など幅広い建築パースに活用できます。


建物のスケール感や空間の奥行きを自然に伝えやすく、完成後の空間を利用する人の視点からイメージを見せたい場合にも適しています。


ハイアングル|建物全体や周辺環境を見せる


ハイアングルは、高い位置にカメラを設定し、建物や空間を見下ろすように捉えるアングルです。


建物の屋根や敷地、道路、植栽、周辺の建物などを一つの画面に収めやすく、建物全体の形状や配置関係を伝えることができます。


住宅や施設の敷地全体を見せたい場合のほか、複数の建物で構成される計画や、建築物と周辺環境との関係を表現したい場合にも有効です。


さらに高い位置から広い範囲を見下ろす表現は、鳥瞰パースとして都市計画や大規模施設、ランドスケープなどのビジュアライゼーションにも活用されています。



建築パースにおける焦点距離の重要性


建築パースでは、カメラの位置やアングルだけでなく、焦点距離の設定によって建物や空間の見え方が大きく変わります。


焦点距離とは、カメラのレンズがどの程度広い範囲を捉えるかに関係する数値です。一般的に焦点距離が短いほど広い範囲を写すことができ、焦点距離が長いほど画角が狭くなります。


3DCGでも実際のカメラと同じように焦点距離を設定できるため、建築パースで表現したい空間や目的に合わせて調整することが重要です。


焦点距離

見え方・特徴

向いている表現・用途

注意点

広角

広い範囲を収めやすく、奥行きや空間の広がりを強調できる

インテリア全体、狭い場所から建物全体を見せる外観パース

極端な広角では周辺部の形状や遠近感が強調され、不自然に見える場合がある

標準

遠近感が過度に強調されず、建物や空間を自然なバランスで表現しやすい

住宅外観、インテリアなど幅広い建築パース

見せたい範囲や構図に合わせて、カメラ位置とともに調整する

望遠

画角が狭く、離れた位置から特定の部分を切り取りやすい。遠近感が弱まり、奥行き方向の要素が近接して見える

ファサード、建築ディテール、複数の建物や街並みを重ねた構図

写せる範囲が狭くなるため、建物全体を見せる場合は十分な撮影距離が必要


広角|空間の広がりを表現する


焦点距離の短い広角レンズでは、広い範囲をひとつの画面に収めやすく、奥行きや空間の広がりを強調できます。


室内全体を見せたいインテリアパースや、カメラを十分に後ろへ移動できない場所から建物全体を捉えたい場合などに活用できます。


一方で、広角になるほど画面の周辺部で形状が大きく見えたり、手前と奥の距離感が強調されたりします。極端な広角は実際の空間以上に広く見えることもあるため、建物や家具などの形状が不自然になっていないか確認しながら調整することが大切です。


標準|自然な距離感で建物や空間を見せる


標準域の焦点距離では、広角ほど遠近感が強調されないため、建物や空間を比較的自然なバランスで表現しやすくなります。


住宅の外観やインテリアなど幅広い建築パースに利用しやすく、建物の形状や空間の奥行きを過度に強調せずに見せたい場合に適しています。


アングルを検討する際は、まず標準的な焦点距離から設定し、見せたい範囲や表現したい印象に合わせて調整していく方法もあります。


望遠|形状や特定の部分を印象的に見せる


焦点距離を長くすると画角が狭くなり、離れた位置から建物の一部分や特徴的なデザインを切り取って見せやすくなります。


また、広角に比べて遠近感が弱く見えるため、奥行き方向に配置された建物や周辺要素が近接しているような印象を与えることができます。


建物のファサードやディテールを印象的に見せたい場合のほか、複数の建物や街並みを重ねて見せるような構図にも活用できます。


焦点距離には「この数値にすれば正解」というものはありません。建築パースで何を見せたいのかを考え、カメラ位置やアングルとあわせて焦点距離を調整することが、自然で伝わりやすいビジュアルを制作するポイントです。



遠近法の活かし方


建築パースでは、遠近法を活用することで、平面的な画面の中に奥行きや立体感を表現できます。


代表的なのが透視図法(線遠近法)です。実際には平行な線でも、視点から遠ざかるにつれて画面上ではひとつ、または複数の消失点へ向かって収束するように見えます。この性質を利用することで、建物の高さや奥行き、空間の広がりを表現できます。


建築パースでは、建物の壁や床、天井、道路などのラインが遠近感を生み出す重要な要素になります。これらの線を意識して構図を決めることで、見る人の視線を自然に画面の奥へ誘導することもできます。


また、遠くにあるものほど小さく見える大きさの変化や、手前と奥での重なり、明暗やコントラストなどを組み合わせることで、さらに奥行きを感じやすい表現になります。


ただし、遠近感を強調しすぎると建物の形状が実際以上に誇張される場合があります。建築物の形状やスケールを伝えながら、目的に合った遠近感を設定することが、自然で伝わりやすい建築パースを制作するポイントです。



光を活かした建築パースの見せ方


建築パースでは、アングルや構図だけでなく、光の方向や強さ、時間帯によっても建物の印象が大きく変わります。


たとえば、建物の正面から均一に光を当てると形状や素材をわかりやすく見せることができます。一方、斜めから光を当てると壁面や柱、庇などに陰影が生まれ、建築物の立体感を強調できます。


また、昼間の明るい自然光、夕方の暖かい光、夜間の照明など、時間帯を変えることでも建築パースの雰囲気を大きく変えることができます。住宅や店舗では暖かさや居心地のよさを表現したり、オフィスや商業施設では建物の特徴的なファサードを印象的に見せたりするなど、建築物の用途や伝えたいイメージに合わせて設定します。


(左)昼間 (中央)夕方 (右)夜
(左)昼間 (中央)夕方 (右)夜

光によって生まれる影も重要な表現要素です。適度な陰影を取り入れることで、壁面の凹凸や素材感、建物の奥行きなどが伝わりやすくなります。


「どこから建物を見せるか」と「どこから光を当てるか」をあわせて考えることで、建築物の特徴をより効果的に伝えるパースを制作できます。



まとめ


建築パースでは、どの位置から、どのような視点で建物や空間を見せるかによって、完成したビジュアルの印象や伝わる情報が大きく変わります。


ローアングル・水平アングル・ハイアングルにはそれぞれ異なる特徴があり、建物の高さや存在感を強調したい場合、実際にその場所に立ったような感覚を表現したい場合、建物全体や周辺環境を見せたい場合など、目的に応じて使い分けることが大切です。


また、アングルだけでなく、焦点距離や遠近法、光の方向や時間帯も建築パースの見え方を左右する重要な要素です。これらを組み合わせることで、空間の広がりや奥行き、建物の立体感、素材の質感などをより効果的に表現できます。


建築パースを制作する際は、単に見栄えのよいアングルを探すのではなく、「このパースで何を伝えたいのか」からカメラや光の設定を考えることがポイントです。


建物や空間の特徴を理解し、目的に合ったアングルや表現方法を選びながら、伝わりやすい建築パース制作につなげていきましょう。

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