【2026年 法改正】建築士・空間デザイナー必見2大法改正「4号特例縮小」「省エネ法義務化」と影響を受けやすい製品・商品
- kyoshida50
- 4 日前
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💡 はじめに|2026年(令和8年)は「厳格化と合理化」の転換期
2025年4月に施行された建築基準法および建築物省エネ法の改正は、2026年(令和8年)に経過措置が終了し、実務として完全に定着します。
2026年以降は、
審査の「厳格化」により構造・省エネに関する検討や説明工数が増えるケース
規制の「合理化」により制度整理が進み、設計判断が明確になるケース
という、二つの方向性が同時に進む転換期となります。
この記事で分かること
✔ 2026年法改正で、デザイナーの製品選びにどんな影響があるか
✔ 「いつもの仕様」が通りにくくなるポイント
✔ 事前に確認することで、手戻りを防げる製品・商品カテゴリ
I. 審査の厳格化と実務に直結する2大法改正
以下の改正は、設計初期の判断ミスが、手戻りやスケジュール遅延につながりやすい項目です。

建築基準法改正のなかで、最も広範囲に影響を与えるのが「四号特例(建築確認・審査の簡略化措置)」の縮小です。
2026年4月以降に求められること
これまで建築確認申請時に省略が認められていた構造関係図書(壁量計算書、構造安全性の説明資料など)の提出が、ほぼすべての新築・増改築で必要になります。
実務への影響
延床面積200㎡以下の小規模店舗・事務所(木造)でも構造設計者との連携が設計初期から必須
構造的な検討が後回しにできなくなり、設計期間・設計コストに影響が出るケースあり
確認申請時の図書不備による審査の差し戻しリスクが増加
👉 「小規模だから簡易で進められる」という前提が通用しにくくなります。
2. ⚡️【省エネ法】300㎡未満 非住宅建築物の省エネ基準適合義務化
2025年4月から施行された300㎡未満の非住宅建築物への省エネ基準適合義務は、2026年以降、審査上も本格的に運用されます。

2025年4月より施行された300㎡未満の小規模な非住宅建築物への省エネ基準適合義務が、2026年には完全に定着し、審査で厳格にチェックされます。
意匠設計で影響が出やすいポイント
① 高断熱サッシ・開口部計画
Ua値・ηA値を満たすため、高断熱ガラス・日射遮蔽(庇・ルーバー等)の検討が必須
大きなガラス面を用いたファサードでは、意匠と性能のバランス調整がよりシビアに
② 高効率設備(空調・照明)の採用
小規模案件でも、高効率な空調・LED照明の選定が前提
設備コストが見積に反映されやすくなる
意匠性と性能を両立できる機器知識が重要
余談|2026年法改正で注意が必要な製品・商品
※ すべての案件に影響が出るわけではありません ※ 設計・仕様決定の初期段階で一度確認しておきたい製品カテゴリです
① サッシ・開口部(アルミ/樹脂/複合サッシ)
なぜ影響を受ける?省エネ評価(Ua値)が一次エネルギー計算に影響するため、開口部の性能設計が結果に直結します。
よく起きること
これまで使っていた アルミ単板サッシが使いづらくなる
樹脂・複合サッシの採用検討が必要になるケース
防火・準防火エリアで選択肢が限定される
注意点
高断熱仕様サッシは、需要集中 → 納期遅延が発生しやすい
小ロット案件ほど品番・納期の変動リスクが高い
② 断熱材(床・壁・天井)
なぜ影響を受ける?300㎡未満でも省エネ適合義務による断熱仕様の説明が必要になり、改修でも既存断熱の考え方が問われます。
見直しが起きやすい材料
グラスウール(密度・厚み指定)
押出法ポリスチレンフォーム(等級指定)
吹付ウレタン(施工品質の説明)
注意点
指定厚み・等級条件が増えることで、いつもの品番が使えないケースあり
③ 空調設備(小規模店舗・テナント)
なぜ影響を受ける?一次エネルギー計算において 空調機器の効率値(COP) が評価に影響します。
起きやすいこと
機器能力や機種の再検討が必要になる
天井内スペースや配管計画が干渉する場合がある
天井デザインとの調整が発生
注意点
高効率機種は、型番が集中 → 納期遅延リスクが出やすい
夏季など繁忙期は特に納期に余裕を持つこと
④ 換気設備・給排気部材
影響ポイント省エネ評価では換気量と省エネ計算がセットでチェックされます。厨房や美容、医療系など換気需要が高い用途では特に影響が出ます。
よくある調整例
換気量の根拠説明が必要
給排気バランスの再検討
熱交換型換気システムの採用
注意点
ダクト径変更 → 天井・梁・照明計画への影響が出ることもあります
⑤ 照明器具(ダウンライト・間接照明)
影響ポイント省エネ計算上、器具効率(lm/W) が評価対象となるため、単に意匠優先で選んだ照明でも性能確認が必要になる場面があります。
起きやすい変更
意匠優先で選んでいた器具が 計算対象外になる
器具メーカーや光源を変更する必要がでる
注意点
人気型番への需要が集中しやすく、納期がブレる可能性
輸入器具は納期遅延のリスクが高い
⑥ 内装仕上げ材(壁・天井)
影響ポイント4号特例縮小により、防火・準防火・内装制限の審査がより明確になります。仕様書や認定番号の確認がこれまで以上に必要です。
見直しが起きやすい材料
木質系パネル
吸音材
クロス下地仕様
注意点
「以前は通った仕様」が、認定番号・仕様書確認を求められる場面が増えています
⑦ 建具・造作家具(意外と盲点)
注意ポイント意外に見落としやすいカテゴリですが、以下のような要素が影響します。
防火性能との整合
開口部の性能(開閉部の断熱・防火)
ガラス仕様の再検討
実務で起きやすいこと家具や建具の配置が、避難・排煙計画に干渉する可能性が出る場合があります
上記の製品カテゴリは 「使えなくなる」わけではありません。ただし、
✔ これまで感覚で選んでいた製品が→ 仕様確認・性能確認が必要になる
✔ 設計初期で何も確認せずに進めると→ 手戻りや見積ズレが生じる可能性がある
という変化点が進んでいます。
早見表|2026年法改正で「選び方」に注意が必要な製品・商品一覧
製品カテゴリ | 影響のポイント | 実務で起きやすい事例 | 注意ポイント |
サッシ・開口部 | 省エネ評価(U値)が影響 | アルミ単板が使いづらい | 高断熱品は納期延長 |
断熱材 | 断熱仕様の説明が必要 | 材種・厚みの再検討 | 型番制約で品番が変わる |
空調設備 | 効率値が省エネ計算に影響 | 機種見直し・再配置 | 型番集中で納期注意 |
換気・給排気 | 換気量と省エネ計算がセット | ダクト径変更の可能性 | 内装計画への波及 |
照明器具 | 器具効率が評価対象 | 意匠器具が対象外に | 人気品番は納期不安 |
内装仕上げ材 | 内装制限・不燃認定が明確に | 非防火認定材の再検討 | 木質・吸音材は注意 |
建具・造作家具 | 防火・開口性能との整合 | ガラス仕様の再検討 | 避難計画への影響 |
※ すべての案件に影響が出るわけではありません。
ただし、設計初期に知っておくことで、後からの調整を減らせます。






