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建築パースのアングル決め完全ガイド|魅力的に見せる視点・構図の選び方を解説

  • KIMURA Tetsuya
  • 7月12日
  • 読了時間: 7分
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建築パースを制作する際、カメラアングルの設定は「印象」を大きく左右する最重要ポイントです。


正しいカメラ設定によって、建築物の魅力や空間の広がり、デザインの意図まで的確に伝えることができます。近年はVR高解像度レンダリング技術の進化により、よりリアルで没入感のあるパース表現が求められる時代になりました。


この記事では、建築パースで魅力的なアングルを決定するための具体的なポイントを、初心者にもわかりやすくプロ目線で解説します。


以下のポイントを押さえれば、あなたの建築CGがワンランク上の仕上がりになります。ぜひ参考にしてみてください。


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1. 視点の高さの決め方

視点の高さによる見え方の違い。左:視点高さ1,000mm(ローアングル) 右:視点高さ1,500mm(標準に近い内観視点)
視点の高さによる見え方の違い。左:視点高さ1,000mm(ローアングル) 右:視点高さ1,500mm(標準に近い内観視点)

建築パース制作において、「視点の高さ」=カメラの設置位置は、空間の印象や情報量を大きく左右する重要な要素です。


例えば、ローアングル(視点が低い位置/例:1,000mm程度)では、天井が高く見え、空間の奥行きや開放感が強調されます。住宅外観やエントランスのようにダイナミックさやシンプルな造形美を際立たせたい場面に適しています。ただし、手前の床面やテーブル上の小物は見えづらくなる点に注意が必要です。


一方、やや高めの視点(例:1,500mm程度)に設定すると、テーブルの上や床面のディテール、小物類、インテリア全体の情報量を豊富に伝えることができます。飲食店や商業施設、住宅の内観パースなど、生活感や演出を重視するシーンでよく使われます。


適切な視点の高さを選ぶことで、パースの訴求力・リアリティ・情報伝達力は大きく向上します。



2. 焦点距離の選び方

焦点距離による見え方の違い。左上:28mm(広がり重視)、左下:35mm(やや広角・汎用的)、右上:50mm(自然で標準的)、右下:80mm(圧縮感・ディテール重視)
焦点距離による見え方の違い。左上:28mm(広がり重視)、左下:35mm(やや広角・汎用的)、右上:50mm(自然で標準的)、右下:80mm(圧縮感・ディテール重視)

焦点距離

特徴

適した用途

28mm

広がりが強調され遠近感が強い。やや歪みが出やすい

室内全体の広がり、共用空間、外観全体

35mm

広がりと自然さのバランス。歪みは比較的少ない

汎用的な内観、住宅内装、オフィス

50mm

人間の目に最も自然。現実的な奥行き感

標準的なパース、内観・外観問わず

80mm

圧縮効果で距離感が詰まりディテールが強調される

家具、キッチン、外壁材など細部描写

焦点距離(カメラのズーム設定)は、建築パースの印象・空間の表現力を決める重要なパラメータです。


一般に、人間の目に最も自然に近いとされるのは40〜50mm程度の焦点距離です。この範囲でレンダリングを行うと、現実に近い奥行き感・バランスの取れたパース表現が可能になります。


一方、短い焦点距離(例:28mm〜35mm)を使用すると、広角特有の遠近感や奥行きの強調が生まれ、空間の広がりを印象付けたいシーンで効果的です。住宅の内観や共用空間、外観全体を見せたい場合によく用いられます。ただし、歪みが出やすいため、家具配置や垂直線の歪みに注意が必要です。


反対に、長い焦点距離(例:80mm以上)は、圧縮効果によって空間をフラットに見せつつ、ディテールをしっかり表現できます。キッチン設備、家具、外壁の質感などディテール重視のシーンで活用されます。



3. 遠近法の活用

遠近法を活用することで、奥行き感とリアルな臨場感を持つ建築パースが表現できる
遠近法を活用することで、奥行き感とリアルな臨場感を持つ建築パースが表現できる

遠近法(パースペクティブ)は、建築パースに奥行き感・臨場感・没入感を与える基本技法です。


建築パースでは、透視図法(一点透視・二点透視など)を活用してオブジェクトや建物を配置することで、立体的でリアルな空間表現が実現できます。これにより、見る人に「その場にいるような感覚」を与えることができます。


特に、建物の正面を見せたいときは一点透視を、角度やボリューム感を強調したいときは二点透視を使用すると効果的です。パース内の要素(家具、植栽、人物など)も遠近法に沿って配置することで、自然なスケール感や空間の奥行きが強調されます。


遠近法を正しく理解し、構図に活用することで、印象的でプロフェッショナルな建築パースを制作することが可能になります。



4. アングルの決め方

アングルの選び方は、建築パースの印象・雰囲気を大きく左右する
アングルの選び方は、建築パースの印象・雰囲気を大きく左右する

アングル種類

特徴

適したシーン

注意点

正面アングル(正対アングル)

安定感・落ち着き・バランスの取れた構図。全体像をわかりやすく伝える

住宅内観、商業施設プレゼン、プレゼンボード用CG

奥行きや動きはやや弱くなる

斜めアングル(斜視アングル)

奥行き・立体感・ダイナミックさを強調

外観パース、エントランス、オフィス空間

建物の形状によっては歪みに注意

仰角(ローアングル)

建物の高さ・迫力・存在感を演出

高層ビル、商業施設の外観、吹き抜け空間

天井や高層部が見えすぎる場合あり

俯角(トップビュー/バードビュー)

全体レイアウト・ゾーニングが把握しやすい

区画計画、商業施設、ランドスケープ

空間の高さ感は出にくい

アングルの選び方は、建築パースの印象・雰囲気を大きく左右する重要なポイントです。


例えば、正面からのアングル(正対アングル)は安定感・安心感を演出しやすく、特に住宅の内観や商業施設のプレゼン資料などで多用されます。空間全体の広がりや家具配置のバランスも把握しやすく、閲覧者に落ち着いた印象を与えます。


一方、斜めからのアングル(斜視アングル)や適度な仰角・俯角を取り入れることで、動きや立体感が生まれ、よりドラマチックで印象的なパースが仕上がります。特に外観パースでは、建物の存在感・ボリューム感を強調したいときに効果的です。

アングルを工夫することで、建築パースに安定感・立体感・印象的な魅力を自在に演出できる
アングルを工夫することで、建築パースに安定感・立体感・印象的な魅力を自在に演出できる

アングルを戦略的に選ぶことで、見る人の視線誘導・空間の魅力的な伝達・完成度の高いビジュアル表現が実現できます。



5. 三分割構図の活用

建築パースでも使われる三分割構図は、視線誘導と自然な安定感を生み出す基本テクニック
建築パースでも使われる三分割構図は、視線誘導と自然な安定感を生み出す基本テクニック

三分割構図は、建築パースで視覚的なバランスと安定感を生み出す基本的な構図テクニックです。


画面を縦横3等分し、交差するポイント(構図の要点)に建物の中心・入口・シンボル要素などの注目ポイントを配置することで、自然な視線誘導と統一感のあるパース表現が実現できます。


また、左右や上下の各セクションに異なる建築要素や植栽・空・床面などをバランスよく配置することで、全体の調和が生まれ、見る人にわかりやすく情報を伝える効果もあります。

三分割構図を意識することで、建築パースはプロフェッショナルな仕上がりになり、閲覧者に印象深いビジュアル体験を提供できます。



6. 光を意識した表現

光と影の演出が、建築パースに立体感とリアリティを与え、空間の魅力を最大限に引き出す
光と影の演出が、建築パースに立体感とリアリティを与え、空間の魅力を最大限に引き出す

建築パースにおける「光の演出」は、空間のリアリティと魅力を大きく左右する重要な要素です。


建築設計において光の取り入れ方が重視されるのと同様に、建築パースでも光と影のバランスが完成度を大きく左右します。


光の角度・強さ・色温度を調整することで、建物の形状や素材感がより明確に表現されます。特に、コントラストのある光と影の組み合わせは、輪郭を際立たせ、立体感と奥行きを生み出します。


また、時間帯や天候を意識したライティングを取り入れることで、朝日・夕景・曇天などシーンごとの雰囲気を的確に演出可能です。こうした光の演出により、鑑賞者にリアルで印象的なパース体験を提供できます。


光を戦略的にコントロールすることで、設計の意図や空間の魅力が最大限に引き出され、建築パースの完成度が飛躍的に高まります。



7. まとめ

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建築パースにおいて、アングル設定は単なる視点の選択にとどまらず、「どのように見せたいか」「何を伝えたいか」という設計者の意図を可視化する重要な手段です。


視点の高さや焦点距離、遠近法の活用から、構図、光の演出までを丁寧に設計することで、パースの印象は大きく変わります。とくに、見る人の視線をどう誘導するか、どこにフォーカスを当てるかといった「視覚的な戦略」は、プロフェッショナルな仕上がりを目指す上で欠かせません。


初めは定番の構図から試し、少しずつ応用を取り入れることで、より魅力的で説得力のある建築パースを制作できるようになります。ぜひ今回ご紹介したアングル決定の考え方や構図の工夫を、実際の制作に取り入れてみてください。


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