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【超初心者向け】建築パースを徹底解説

2024年1月9日
読了時間: 13分

更新日:9月28日


建築やインテリアのデザインを検討する際、完成後のイメージをわかりやすく伝えるために活用されているのが「建築パース」です。


平面図や立面図などの図面からは、建物の寸法や配置を正確に読み取ることができますが、専門知識がない人にとって、完成した建物や空間を具体的にイメージすることは簡単ではありません。建築パースを使うことで、建物の形状や素材、色、家具、照明、周辺環境などを視覚的に表現し、完成イメージを共有しやすくなります。


現在では、手書きによるパースだけでなく、3DCGを使ったリアルな建築パースも広く活用され、設計・デザインの検討からクライアントへのプレゼンテーション、不動産広告まで、さまざまな場面で利用されています。


この記事では、建築パースとは何かという基本から、主な種類や制作方法、使用されるツール、活用するメリットまで、初めて建築パースを学ぶ方にもわかりやすく解説します。


CONTENTS



建築パースとは?


建築パースとは、完成前の建物や室内空間を、実際にそこにあるように立体的に表現した完成予想図のことです。


建築の設計では、平面図や立面図、断面図などの図面を使って、建物の寸法や配置、構造などを正確に伝えます。しかし、図面は専門的な情報が多いため、建築に詳しくない人にとっては、そこから完成後の建物や空間を具体的に想像することが難しい場合があります。

そこで活用されるのが建築パースです。


建築パースでは、建物の形状だけでなく、外壁や床・壁の素材、色、家具、照明、植栽、周辺環境なども含めて視覚的に表現できます。そのため、「完成するとどのような建物になるのか」「実際の室内はどのような雰囲気になるのか」を、図面よりも直感的に理解できます。


「パース」とは何のこと?

「パース」は、英語のPerspective(パースペクティブ)に由来する言葉です。

Perspectiveには「遠近法」や「透視図」といった意味があり、建築分野では、奥行きや距離感を表現しながら建物や空間を描いた図を「パース」と呼びます。


たとえば、実際に建物を目の前から見たとき、近くにあるものは大きく、遠くにあるものは小さく見えます。建築パースでは、このような見え方を利用して、平面上の画像でも建物や室内に奥行きがあるように表現します。


建築パースでは何を確認できる?

建築パースを使うと、図面だけでは把握しにくいさまざまな要素を確認できます。

確認できること

内容

建物の形や大きさ

建物全体の形状やボリューム、高さなど

空間の広さ・奥行き

室内の広がりや天井高、空間同士のつながり

素材や色

外壁、床、壁、家具などの素材や配色

家具・設備の配置

ソファやテーブル、キッチン、照明などの位置

光や影

自然光や照明による明るさ、影の出方

周辺環境

道路、植栽、隣接する建物などとの関係


建築パースは、単に「きれいな完成イメージを作るための画像」ではありません。設計した内容を確認し、関係者の間で完成イメージを共有するための資料としても重要な役割を持っています。


建築パースはいつ使われる?

建築パースは、建物が完成した後ではなく、主に設計や計画の段階で利用されます。

住宅であれば、施主に完成後の住まいを説明するとき、店舗やオフィスであれば、内装デザインをクライアントへ提案するときなどに使われます。また、マンションや商業施設などでは、建物がまだ完成していない段階の広告や販売資料として利用されることもあります。


現在では、手書きで描くパースのほか、3DCGを使って写真に近い表現を行うCGパースも広く利用されています。



パースの分類(表現手法)

建築パースは、どのような方法で制作するかによって、主に「手書きパース」と「CGパース」に分けられます。現在の記事もこの2種類を基本としているため、超初心者向けなら、まず違いを表で示してからそれぞれを説明すると理解しやすくなります。

種類

制作方法

主な特徴

向いている表現

手書きパース

紙やペン、色鉛筆、マーカーなどを使って描く

描き手の個性や温かみを表現しやすい

アイデア、コンセプト、柔らかな雰囲気

CGパース

3DCGソフトなどを使って制作する

建物の形状や素材、光などをリアルに表現しやすい

完成イメージ、設計確認、プレゼンテーション

手書きパース

手書きパースのイメージ
手書きパースのイメージ

手書きパースとは、建物や室内空間を手描きで表現する方法です。

鉛筆やペン、色鉛筆、マーカー、水彩などを使い、建物の外観やインテリアを立体的に描きます。完成した建物を正確に再現するだけでなく、描き手のタッチを活かして、空間の雰囲気やデザインのコンセプトを伝えられることが特徴です。


設計の初期段階でアイデアを素早く視覚化したり、クライアントへデザインの方向性を伝えたりする場合にも活用できます。

また、手描きならではの柔らかさや温かみがあるため、写実性よりも「どのような建物・空間をつくりたいのか」というイメージを伝えたい場合にも適しています。


CGパース

CGパースとは、コンピューターグラフィックスを使って制作する建築パースです。

一般的には、建物や室内を3Dモデリングソフトで立体的に作成し、床や壁、外壁、家具などに素材や色を設定します。さらに照明や太陽光、カメラの位置などを調整し、レンダリングすることで1枚の画像に仕上げます。現在の記事でも、3Dモデリングとレンダリングによる制作方法が紹介されています。


CGパースでは、建物の形状だけでなく、素材の質感、光や影、家具、植栽、周辺環境などを細かく表現できるため、完成後の建物や空間を具体的にイメージしやすくなります。

また、3Dデータを使用するため、同じ建物を別の角度から見せたり、外壁の色や床材、家具などを変更して複数のデザイン案を比較したりすることもできます。


現在では住宅やマンション、店舗、ホテル、オフィスなど幅広い建築・インテリア分野で活用され、設計の確認、クライアントへの提案、不動産広告などにも利用されています。



パースの分類(描く対象)

建築パースは、何を描くかによって「外観パース」と「内観パース」に大きく分けられます。

外観パースは建物を外側から見た完成イメージ、内観パースは建物の内部から見た空間の完成イメージを表現します。

種類

表現するもの

主に確認できること

主な用途

外観パース

建物の外観と周辺環境

建物の形状、外壁、窓、植栽、道路、周辺との関係など

住宅・マンション・商業施設などの設計、提案、広告

内観パース

建物内部の空間

間取り、家具配置、床・壁の素材、色、照明、空間の雰囲気など

住宅、店舗、ホテル、オフィスなどの内装設計・提案

外観パース

外観パースとは、建物を外側から見た完成イメージを表現したパースです。

住宅やマンション、オフィスビル、商業施設などの建物を立体的に表現し、建物全体の形状や外壁の素材、窓や入口の位置などを確認できます。



また、外観パースでは建物だけを描くとは限りません。道路や歩道、植栽、駐車場、周辺の建物などを加えることで、完成した建物が周囲の環境の中でどのように見えるのかまで表現できます。


たとえば住宅であれば、「外壁を白とグレーのどちらにするか」「植栽を加えるとどのような印象になるか」といったデザインの比較にも利用できます。


さらに、マンションや商業施設などでは、建物が完成する前のWebサイトやパンフレット、広告などに掲載する完成予想図としても活用されています。


内観パース

内観パースとは、建物の内部から見た室内空間を表現したパースです。「インテリアパース」と呼ばれることもあります。


リビングやキッチン、寝室といった住宅の室内だけでなく、店舗、ホテル、レストラン、オフィスなど、さまざまな空間の完成イメージを表現できます。



内観パースでは、壁や床、天井といった空間の基本的な構成に加えて、家具や設備の配置、素材や色、照明、窓から入る光などを確認できることが特徴です。


たとえば「このソファを置いたときに部屋が狭く見えないか」「床と壁の色は合っているか」「照明をつけるとどのような雰囲気になるか」など、図面だけでは判断しにくい部分を完成前に検討できます。


床と壁の色は合っているか比較検討が可能
床と壁の色は合っているか比較検討が可能

そのため内観パースは、インテリアデザインの確認だけでなく、クライアントへの提案や店舗・ホテルなどのプレゼンテーションにも幅広く利用されています。


外観パースと内観パースは表現する対象こそ異なりますが、どちらも完成前の建築や空間をわかりやすく伝えるという基本的な役割は共通しています。



建築パースの制作方法


建築パースの制作方法は、手書きか3DCGかによって異なります。ここでは、現在広く利用されている3DCGによる建築パースが、どのような流れで作られるのかを簡単に見ていきましょう。




3DCGと聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本的には「建物を立体的に作る」「素材や色を設定する」「光を設定する」「画像として仕上げる」という流れで制作します。

工程

主な作業

何をする?

資料の準備

図面・仕様書などを確認

建物の形や寸法、素材などの情報を集める

モデリング

建物を3Dで作成

壁、床、屋根、窓などを立体化する

マテリアル設定

素材・色を設定

木材、コンクリート、ガラスなどの質感を設定する

家具・植栽などの配置

3D素材を配置

家具、照明器具、樹木などを加える

ライティング

光を設定

太陽光や室内照明を設定する

カメラ設定

見せる角度を決める

建物や空間が魅力的に見える構図を決める

レンダリング

画像を生成

設定した3D空間から最終的な画像を作る

仕上げ

色や明るさを調整

必要に応じて画像編集ソフトなどで調整する

資料を準備する

まず、建築パースを制作するために必要な資料を準備します。


代表的なものが、平面図、立面図、配置図などの建築図面です。さらに、外壁や床などの素材、家具、設備、植栽などの資料があれば、完成イメージをより具体的に反映できます。

これらの資料を確認しながら、どのような建物や空間を制作するのか整理していきます。


建物をモデリングする

次に、図面をもとに建物を3Dで作成します。この作業を「モデリング」といいます。

壁や床、天井、屋根、窓、ドアなどを立体的に作り、建物の基本的な形をつくっていきます。


内観パースであれば室内空間、外観パースであれば建物全体や敷地など、最終的にパースとして見せる範囲を中心に制作します。


素材や色を設定する

3Dモデルを作っただけでは、建物はまだ素材感のない状態です。そこで、床には木材、外壁にはコンクリート、窓にはガラスというように、各部分に素材や色を設定します。



3DCGでは、このような素材の設定を「マテリアル」と呼びます。色だけでなく、光の反射や透明度、表面の凹凸などを調整することで、木材や金属、ガラスといった素材の違いを表現できます。


家具や植栽などを配置する

必要に応じて、家具、照明器具、家電、植栽、車なども配置します。



内観パースでは家具を配置することで空間の広さや使い方が伝わりやすくなり、外観パースでは植栽や道路などを加えることで、実際に建物が建ったときの周辺環境までイメージしやすくなります。


光とカメラを設定する

建物や素材を設定したら、太陽光や室内照明などのライティングを行います。



同じ建物でも、昼・夕方・夜では印象が大きく変わります。光の方向や明るさを調整し、建物や空間をどのような雰囲気で見せるかを決めます。


同時に、パースをどの位置から見るのかというカメラアングルも設定します。



建物全体を見せるのか、室内の広がりを見せるのかなど、伝えたい内容に合わせて構図を決めます。


レンダリングして仕上げる

最後に、作成した3Dモデル、素材、照明、カメラなどの情報をもとに画像を生成します。この工程を「レンダリング」といいます。


レンダリングによって光や影、素材の反射などが計算され、完成した建築パースとして画像になります。


必要に応じて、レンダリングした画像の明るさや色味を調整したり、人物や植栽などを追加したりして、最終的なビジュアルに仕上げます。


このように3DCGによる建築パースは、図面から建物を立体化し、素材・光・カメラなどを設定して、完成イメージを1枚の画像として表現するという流れで制作されています。



建築パース制作に使われる主なツール


3DCGによる建築パース制作では、建物を立体的に作る「モデリング」、素材や光を設定する「レンダリング」、完成した画像を整える「画像編集」など、工程に応じてさまざまなツールが使われます。


ひとつのソフトですべての工程を行う場合もあれば、複数のソフトを組み合わせて制作する場合もあります。


代表的なツールと役割を簡単に見てみましょう。

ツール

主な用途

特徴

3Dモデリング

直感的に操作しやすく、建築やインテリアの3Dモデル制作に広く利用されている

3Dモデリング・CG制作

高度なモデリングや建築ビジュアライゼーションに対応

3Dモデリング・レンダリング

無料で利用でき、モデリングからレンダリングまで幅広く対応

3Dモデリング

曲面や複雑な形状のモデリングに強い

BIM・建築設計

建築情報を持った3Dモデルを作成でき、設計からビジュアル制作まで活用できる

レンダリング

光や素材を細かく設定し、写真のようなリアルな表現ができる

レンダリング・ビジュアライゼーション

建築モデルに素材、植栽、人物などを加え、比較的短時間でビジュアル化できる

リアルタイムレンダリング

建築・BIMソフトと連携しながら、完成イメージをリアルタイムで確認できる

画像編集・仕上げ

色や明るさの調整、人物・植栽の追加など、レンダリング後の仕上げに使用

モデリングソフト

建築パースを3DCGで制作する場合、最初に必要になるのが建物や室内を立体的に作るためのモデリングソフトです。


SketchUp、3ds Max、Blender、Rhinoなどが代表的で、壁や床、屋根、窓、家具などを3D空間上に作成します。


ソフトによって得意分野は異なります。たとえばSketchUpは比較的直感的に操作しやすく、Rhinoは曲面を含む複雑な形状の制作にも利用されています。


レンダリングソフト

3Dモデルを写真のような画像として仕上げるために使われるのがレンダリングソフトです。

V-Ray、Lumion、Enscapeなどがあり、光や影、素材の質感、周辺環境などを表現するために使用します。

モデリングソフトと組み合わせて使用するものも多く、たとえばSketchUpで建物を作成し、V-RayやEnscapeを使ってレンダリングするといった制作方法があります。


画像編集ソフト

レンダリングした画像は、そのまま完成とする場合もありますが、最後に画像編集ソフトを使って調整することもあります。


代表的なツールがPhotoshopです。明るさや色味を調整したり、空や人物、植栽などを加えたりして、建築パース全体の見え方を整えます。


初心者はどのツールを選べばいい?

建築パースを初めて制作する場合、最初からすべてのツールを覚える必要はありません。

まずは「建物を3Dで作る」「素材や光を設定する」「画像として出力する」という基本的な流れを体験できるツールから始めると、建築パース制作の仕組みを理解しやすくなります。


また、無料で利用できるBlenderのようなソフトもあるため、まず3DCG制作を試してみたい場合の選択肢になります。


一方、実際の建築・インテリア制作では、設計環境や求められる表現によって使用するツールが異なります。「どのソフトが一番優れているか」ではなく、制作目的や工程に合わせて選ぶことが大切です。



まとめ


建築パースは、完成前の建物や空間を立体的に表現し、完成イメージをわかりやすく伝えるためのビジュアルです。図面だけではイメージしにくい建物の形状や空間の広さ、素材、色、家具、照明、周辺環境などを視覚的に確認できます。


建築パースには、制作方法によって「手書きパース」と「CGパース」があり、描く対象によって「外観パース」と「内観パース」に分けられます。現在では3DCGを活用した制作も広く行われ、モデリング、素材や照明の設定、レンダリングなどの工程を経て、写真のようなリアルな表現も可能になっています。


また、建築パースは完成イメージを確認するだけではありません。設計やデザインの検討、クライアントへのプレゼンテーション、関係者とのイメージ共有、不動産広告など、建築・インテリアに関わるさまざまな場面で活用されています。


最初は専門用語が多く難しく感じるかもしれませんが、まずは「完成前の建物や空間を、わかりやすく見える形にするもの」と考えると理解しやすくなります。建築パースの基本を知り、目的に合わせてさまざまな表現方法やツールを活用してみてください。

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