ZBrushのレンダリング機能とは?| 3DCG制作でのメリット
- KIMURA Tetsuya
- 6月29日
- 読了時間: 10分

ZBrushは、ハリウッド映画、ゲーム、アニメーション制作など、世界中のクリエイターに支持される高機能3Dモデリングソフトウェアです。特に独自のスカルプト(彫刻)技術と圧倒的なディテール表現力で知られ、キャラクターモデルやクリーチャーデザインだけでなく、建築ビジュアライゼーションの分野でも注目を集めています。
本記事では、ZBrushの基本機能から応用テクニックまでをわかりやすく解説し、建築パース制作におけるZBrushの活用方法やレンダリングの可能性に焦点を当てます。高度なモデリングツールとして、建築デザインにどのような新しい表現や提案力をもたらすのか、その魅力を詳しく見ていきましょう。
1. Zbrushとは?
ZBrushは、Pixologic(現Maxon傘下)が開発・提供するプロフェッショナル向け3Dスカルプト・ペイントソフトウェアです。世界中の映画、ゲーム、アニメーション、工業デザイン、建築ビジュアライゼーションの現場で利用されており、その緻密で自由度の高いモデリング機能が高く評価されています。
ZBrushの最大の特長は、まるで粘土を彫刻するような直感的操作で、超高解像度のディテールまで表現できる点です。数千万ポリゴンにおよぶ複雑な形状をリアルタイムで編集できるパフォーマンスと、豊富なブラシやカスタマイズ可能なツール群により、クリエイターのアイデアをスピーディに具現化できます。
ZBrushは、建築パース制作においても独自性の高いデザインパーツの造形や、精密な装飾・彫刻表現に活用されており、建築ビジュアライゼーションの表現力を飛躍的に高めるツールとして注目されています。
2. Zbrushのレンダリング機能を解説

ZBrushは、モデリングだけでなく高品質なレンダリング機能を標準で備えています。特に「BPR(Best Preview Render)」は、ZBrushならではの直感的なスカルプト結果を即座にビジュアル化できる機能として、多くのクリエイターに活用されています。また、近年ではRedshiftによるフォトリアルレンダリング機能も統合され、より表現力豊かな出力が可能です。
ZBrushの主なレンダリング機能
BPR(Best Preview Render)
モデル全体にアンチエイリアス処理を施し、高解像度のプレビュー画像を生成。
サブツール、ポリフレーム、サブサーフェススキャッタリング、ファイバー(毛髪)表現にも対応。
シャドウ、アンビエントオクルージョン、ノーマルなどのレンダリングパスを分割出力でき、PhotoshopやAfter Effectsなどのポストプロセスでの編集に役立ちます。
BPRフィルター
被写界深度(DoF)、シャープネス、グロー、シャドウカラー調整などが可能。
外部ツールを使わずに、ZBrush内部で細かなビジュアル調整が完結します。
Redshift統合レンダリング
フォトリアル品質のGPUレンダリングをZBrush内で実現。
リアルなライティング、マテリアル表現に対応し、建築パースやプレゼン資料向けにも使いやすい仕上がりが可能。
レンダリング機能の特長と活用ポイント
ZBrushのレンダリング機能は、スカルプトからビジュアル化までの工程を効率化し、建築パースやプロダクトデザインの初期検討、プレゼン資料制作などに幅広く活用されています。特にBPRとRedshiftの併用で、アート性とリアルさを兼ね備えた表現が可能です。
3. Zbrushのメリット

ZBrushは、他の3Dモデリングソフトと比較しても、独自の機能と操作性により、世界中のプロフェッショナルに支持されています。特に以下の点が大きな強みです。
圧倒的なスカルプト性能:数百万ポリゴンをリアルタイムで操作でき、細部のディテールまで直感的に彫り込めます。
独自の操作インターフェース:描くような感覚で3Dモデリングが可能。ペンタブレットとの相性も非常に良く、造形に集中できます。
豊富なブラシ・ツール群:標準搭載のブラシだけで数百種類以上が用意され、ユーザー自身がカスタムブラシを作成・共有することも可能です。
高い拡張性:Redshift統合、GoZ(他ソフトとの連携機能)、プラグインなどで用途に合わせた拡張が可能です。
業界標準の信頼性:映画、ゲーム、プロダクトデザイン、建築パースまで、世界中の制作現場で採用されています。
4. Zbrushのデメリット
一方で、ZBrushには利用前に理解しておくべき注意点も存在します。
独特なインターフェースに慣れが必要:一般的な3Dソフト(MayaやBlenderなど)とは操作体系が大きく異なるため、初心者は習得に時間がかかることがあります。
精密なCADモデリングには不向き:スカルプト特化のため、寸法管理や工業製品のような厳密な設計用途には適していません。
高解像度作業ではPC性能を要求:数千万ポリゴンのモデルやRedshiftレンダリングを快適に扱うには、十分なGPU・メモリが必要です。
レンダリング機能の制限(標準機能のみの場合):BPRは強力ですが、フォトリアル表現やアニメーションレンダリングでは、外部レンダラーとの併用が求められる場面もあります。
5.ZBrushはどんな人におすすめ?おすすめしない人は?
ZBrushは、直感的な造形表現や細密なモデリングに特化したスカルプトソフトです。そのため、ユーザーの目的や制作スタイルによって向き・不向きがあります。ここでは、ZBrushがおすすめの人、逆に他のツールが適している人の特徴を整理します。
ZBrushがおすすめの人
ZBrushは、特に以下のようなクリエイターや用途に向いています。
彫刻や手描きの感覚で3D造形を楽しみたい人:デジタルクレイ(粘土)のように自由に形を作ることができ、直感的な造形が可能です。
キャラクターデザイン・クリーチャーモデリングを本格的に行いたい人:映画やゲームで用いられるようなリアルで有機的な造形表現に強みがあります。
ハイポリゴンで細部まで作り込みたい人:数百万ポリゴンのモデルでもリアルタイムでスカルプトでき、微細なディテール表現に適しています。
ペンタブレットや液晶タブレットを活用したい人:筆圧やストロークが造形にそのまま反映され、手作業の感覚に近い操作感が得られます。
建築パースにオブジェ、彫刻、自然物などの有機的要素を加えたい人:建築CGの添景や装飾、アートオブジェを自作したい場合にも活躍します。
ZBrushをおすすめしない人(他ツールの方が向いている人)
一方で、ZBrushは以下のような目的の方には必ずしも最適ではありません。
寸法管理や正確な寸法設計が必要な人:工業製品や建築構造設計のように厳密な数値制御が求められる場合は、CADソフトやRevitなどの設計ソフトの方が適しています。
短時間でローポリモデリングやリギング、アニメーションまで一貫して作業したい人:MayaやBlenderの方が汎用的で効率的な場合があります。
操作性やUIが簡潔で学習コストの低いソフトを求める人:ZBrushは機能が多く、初心者にはやや取っつきにくいと感じることもあります。
6.ZBrushの料金とライセンス体系

ZBrushは、現在はサブスクリプション(定額契約)制が基本となっており、従来の永続ライセンス(買い切り型)は新規販売が終了しています。用途や予算に合わせ、月額契約・年額契約・教育版といった複数の選択肢が用意されています。
商用利用を目的とする場合、月額・年額サブスクリプションが選ばれています。月額契約は短期間だけ使いたい方に、年額契約はコストを抑えて長期的に利用したい方に適しています。一方、教育機関の学生や教職員向けには、学習用途に限定した教育版ライセンスが提供されています。
かつて人気があった永続ライセンスは、2021年末で新規購入受付が終了しました。既存の永続ライセンス利用者はそのまま使い続けることが可能ですが、現在は新しいバージョンや新機能への無償アップデートは対象外となっています。
以下に、主なプランの料金目安をまとめてみました。(2025年6月時点、1ドル=110円換算)
プラン | 年額目安(日本円) | 商用利用 | 備考 |
月額サブスクリプション | 約4,400円/月 | 可 | 月単位で契約・更新 |
年額サブスクリプション | 約52,700円/年 | 可 | 月額契約より割安 |
永続ライセンス(旧モデル) | 約98,500円(参考) | 可 | 新規購入不可。既存のみ継続利用可 |
教育版 | 要問合せ | 不可 | 学習・教育用途限定 |
商用で継続的にZBrushを活用したい場合、現行のサブスクリプション契約がスタンダードな選択肢です。特に年額プランは、月額契約と比べて総コストを抑えられるため、長期で使用予定の方におすすめです。なお、永続ライセンスは新規では入手できないため、これから購入を検討する方はサブスクリプション一択となります。
ZBrushのライセンス別おすすめユーザー
ZBrushのライセンスは、用途や利用スタイルによって適したプランが異なります。ここでは、どのライセンスがどんなユーザーに向いているのかを具体的に解説します。
月額サブスクリプション
月単位で契約・解約ができるため、短期間だけZBrushを使いたい方や、特定のプロジェクトのために必要な方に最適です。たとえば「数カ月だけ集中して作品を作りたい」「学習のために試してみたい」という方に向いています。
年額サブスクリプション
長期的にZBrushを利用し、コストパフォーマンスも重視したい方におすすめです。商用利用が可能で、フリーランスや企業内のクリエイター、継続的に3Dモデリングを業務に活かす方に適しています。年間契約のため、計画的にスキルアップを進めたい方に向いています。
永続ライセンス(旧モデル)
現在は新規購入できませんが、過去に永続ライセンスを取得済みの方で、「アップデートや新機能にはこだわらない」「既存の機能で十分」という方がそのまま利用を継続しています。今から新規で検討する方には選択肢がありません。
教育版ライセンス
学生や教育機関の教職員向けで、非商用に限定されています。授業や学習課題、個人のスキル習得を目的とした利用に適しています。商用での作品制作には利用できないため、職業クリエイター志望の方は将来的に商用版への切り替えが必要です。
契約の注意点
ZBrushの契約では、サブスクリプションの場合は解約しない限り自動更新される点に注意が必要です。解約のタイミングによっては次の請求が発生することがあるため、短期利用の場合は日付を管理すると安心です。
また、教育版ライセンスは商用利用が禁止されているため、個人制作でも販売やクライアント案件に使わないよう注意しましょう。さらに、永続ライセンスは現在新規販売が終了しているため、公式以外での購入を装った詐欺的な販売サイトには十分注意が必要です。
7.よくある質問(FAQ)

ZBrushには体験版はありますか?
はい、ZBrush には無料体験版(ZBrush Trial) が用意されています。一定期間、製品版とほぼ同等の機能を試すことが可能です。購入前に操作感や機能を確認したい方は、公式サイトからダウンロードして試すとよいでしょう。
ZBrushのライセンスはPC買い替え時に移行できますか?
ZBrushのライセンスは、同時に 1 台のマシンでのみアクティベート可能ですが、公式ツールを使ってライセンスの解除・再アクティベートが可能です。PCを買い替えた場合や環境を変更した場合も、安心してライセンスを移行できます。
どのライセンスがどんなユーザーに向いていますか?
ZBrushのライセンスは以下のように選ぶのがおすすめです。
サブスクリプション(月間・年間):短期プロジェクト、学習目的、まずは使ってみたい方に最適です。
永続ライセンス:長期的にZBrushを使い続けるプロフェッショナルや、定期的な支払いを避けたい方に向いています。
ZBrushは他の3DCGソフトと連携できますか?
はい、ZBrushは Maya、3ds Max、Blenderなど主要な3DCGソフトとの連携 が可能です。ファイルのエクスポート・インポートや、GoZ 機能を利用してデータをシームレスにやり取りできます。
推奨される動作環境はどのくらいですか?
ZBrushの推奨動作環境は、Windows 10/11(64bit)、macOS 10.14以降、RAM 8GB以上(推奨16GB以上)、空きストレージ 100GB以上です。より快適な操作を目指すなら、高性能なグラフィックボードを備えたPCが理想です。
ZBrushを学ぶための公式チュートリアルはありますか?
ZBrushの公式サイトや YouTube チャンネルには、基礎から応用までの無料チュートリアル が多数用意されています。初心者の方はまず公式チュートリアルで基本操作を確認し、徐々に応用スキルを身につけると良いでしょう。
8. まとめ
ZBrushは、その高度なモデリング機能と直感的な操作性により、映画、ゲーム、建築パースなど幅広い分野でプロフェッショナルに選ばれている3Dモデリングソフトウェアです。ノードベースではなくブラシベースの彫刻的なアプローチで、繊細なディテール表現を効率的に行えるのが最大の強みです。
ライセンスはサブスクリプションを中心とした構成となっており、学習用や短期プロジェクト向け、長期利用向けと、用途に合わせて選択が可能です。初めての方は体験版や公式チュートリアルを活用し、操作感を確認しながら導入するのがおすすめです。
ZBrushを上手に活用することで、あなたの制作物の表現力は飛躍的に向上します。ぜひ本記事を参考に、最適なライセンス選びやスキルアップに役立ててください。








