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ZBrushのレンダリング機能とは?| 3DCG制作でのメリット

2025年6月29日
読了時間: 13分

更新日:9月18日



ZBrushは、デジタルスカルプティングを中心に、モデリング、ペインティング、テクスチャリング、レンダリングまで幅広く対応する3DCG制作ソフトウェアです。粘土を削ったり盛り付けたりするような感覚で形状を作り込めるスカルプト機能を特徴とし、映画やVFX、ゲームなどの制作現場で、キャラクターやクリーチャーをはじめとする高精細な3Dモデルの制作に活用されています。


ZBrushには、モデルを高品質にレンダリングできるBPR(Best Preview Render)に加え、Redshiftも統合されており、制作したモデルの質感やライティングを確認しながらビジュアルとして仕上げることができます。


本記事では、ZBrushの基本的な特徴とレンダリング機能を解説しながら、3DCG制作に取り入れるメリットや、建築パース制作でどのように活用できるのかをわかりやすく紹介します。


CONTENTS



ZBrushとは?


ZBrushは、Pixologicが開発し、現在はMaxonが提供するプロフェッショナル向けのデジタルスカルプティング・モデリング・ペインティングソフトウェアです。バーチャルな粘土を扱うような感覚で3Dモデルを造形できることを特徴とし、映画・VFXやゲームをはじめ、プロダクトデザイン、ジュエリー、3Dプリンティングなど幅広い分野の制作に活用されています。


ZBrushの大きな特長は、高密度なポリゴンモデルを扱いながら、ブラシを使って形状や細かなディテールを直感的に作り込める点です。豊富なブラシに加え、DynaMeshやSculptris Pro、ZRemesher、ZModelerなどの機能を備えており、有機的な造形からハードサーフェスまで幅広いモデリングに対応しています。


建築CGの制作では、建物全体を設計・モデリングする用途だけでなく、彫刻やレリーフ、装飾部材、岩や地形など、一般的なポリゴンモデリングでは作り込みに手間がかかる複雑な形状の制作にも活用できます。作成したモデルは、Mayaや3ds Max、Cinema 4Dなどへ引き継ぎ、レンダリングを含む3DCG制作のワークフローに組み込むことも可能です。



ZBrushのレンダリング機能とは?


ZBrushは、スカルプティングやモデリングだけでなく、制作した3Dモデルをそのままビジュアル化できるレンダリング機能も備えています。代表的なのがZBrush独自の「BPR(Best Preview Render)」で、現在は「Redshift」もZBrushに統合されています。

BPRは、ZBrush上のモデルを高品質なアンチエイリアス処理でレンダリングする機能です。シャドウやアンビエントオクルージョン(AO)、サブサーフェススキャッタリング(SSS)、ファイバー、透明表現などにも対応しており、スカルプトしたモデルを別の3DCGソフトへ移動せずに確認・出力できます。


ZBrushの主なレンダリング機能

機能

特徴

BPR(Best Preview Render)

ZBrushに搭載されたレンダリングシステム。高品質なアンチエイリアスに加え、シャドウ、AO、SSS、ファイバー、透明表現などに対応しています。

BPR Render Pass

Shaded、Depth、Shadow、Ambient Occlusion、Mask、SSSなどを個別のレンダリングパスとして出力できます。Photoshopなどを使った合成・レタッチにも活用できます。

BPR Filters

レンダリング後の画像にフィルターを適用し、シャープネスや被写界深度、シャドウなどをZBrush上で調整できます。

Redshift in ZBrush

Redshiftを利用して、よりリアルなマテリアルやライティングを表現できます。金属、ガラス、反射、コースティクス、SSS、発光などの表現にも対応しています。

BPRでは複数のレンダリングパスが用意されており、ShadowやAmbient Occlusion、Depth、Mask、SSSなどを個別に書き出せます。これらをPhotoshopなどで合成することで、レンダリング後に影の強さや質感などを調整しやすくなります。



BPR Filtersでレンダリング後の見た目を調整

BPR Filtersは、BPRでレンダリングした画像にポストエフェクトを適用する機能です。シャープネスや被写界深度、シャドウなどを調整でき、レンダリングをやり直さずにZBrush上で見た目を整えられます。


また、DepthやMask、AO、SSSなど、レンダリング時に計算された情報を利用して効果を特定の領域に適用することもできます。簡単な仕上げであれば、外部の画像編集ソフトを使わずにZBrush内で調整できます。


Redshiftでよりリアルなレンダリングも可能

ZBrushではRedshiftを利用したレンダリングにも対応しています。Redshift in ZBrushでは、金属やガラス、反射、コースティクス、サブサーフェススキャッタリング、発光などを利用でき、BPRよりもリアルな質感やライティングを必要とするビジュアル制作に活用できます。


また、Progressive Renderingではレンダリング結果を継続的に確認しながら調整でき、Bucket Renderingでは最終的な高品質レンダリングを行えます。ZBrushで作り込んだ高精細なモデルを、そのままRedshiftによるレンダリングへつなげられる点も大きな特徴です。



ZBrushを使用するメリット


ZBrushは、高密度な3Dモデルを直感的に造形できるデジタルスカルプティングに強みがあります。ブラシによる自由な造形だけでなく、リメッシュ、ペイント、ハードサーフェスモデリング、レンダリング、他の3DCGソフトとの連携まで備えており、アイデアの検討から高精細なモデル制作まで幅広い工程に活用できます。



粘土を扱うように直感的に造形できる

ZBrushの大きなメリットは、ポリゴンを一つずつ編集する従来のモデリングとは異なり、ブラシを使って粘土を押したり、削ったり、盛り上げたりするような感覚で形状を作れることです。


ブラシはペンタブレットの筆圧にも対応しており、Move、Pinch、Sliceなどさまざまな操作を組み合わせながら、形状や表面のディテールを直感的に調整できます。細かな数値設定よりも、形を見ながら造形を進めたい場合に適しています。


高精細なディテールを作り込める

ZBrushは非常に多くのポリゴンを扱えるよう設計されており、細かな凹凸やシワ、傷、岩肌など、一般的なポリゴンモデリングでは制作に手間がかかるディテールも直接スカルプトできます。


Maxon公式では、デスクトップ版ZBrushは1メッシュあたり最大1億ポリゴンに対応するとされています。建築CGでも、彫刻やレリーフ、自然石、岩、装飾部材など、複雑な表面形状を作り込む用途に活用できます。


トポロジーを意識せず形状を検討しやすい

「DynaMesh」を使用すると、形状を大きく変化させた場合でもポリゴンを再配置できるため、制作初期から細かなトポロジーを意識せずにスカルプトを進められます。


複数の形状を組み合わせたり、一部を削り取ったりしながら自由に形を検討できるため、完成形が決まっていないコンセプト制作やデザインの試行錯誤にも適しています。


有機的な形状からハードサーフェスまで制作できる

ZBrushはキャラクターやクリーチャーなどの有機的な造形だけでなく、「ZModeler」や「Live Boolean」などを利用したハードサーフェスモデリングにも対応しています。


そのため、人物や植物、岩などの有機的なモデルから、家具、プロダクト、建築装飾などの比較的シャープな形状まで、同じ制作環境で扱うことができます。


モデルに直接ペイントできる

「PolyPaint」を利用すると、あらかじめUVやテクスチャマップを用意しなくても、モデルの表面へ直接カラーをペイントできます。


3Dモデルを回転させながら色や模様を確認できるため、造形と並行してカラーリングを検討できます。必要に応じてUV Masterなどを利用し、その後のテクスチャ制作へつなげることも可能です。


他の3DCGソフトと組み合わせやすい

ZBrushは単体ですべての3DCG制作を完結させるだけでなく、制作パイプラインの一部として利用できる点もメリットです。


ZBrushで高精細なモデルを制作し、そのデータをCinema 4D、Maya、3ds Max、Redshift、ゲームエンジンなどへ引き継ぐことができます。建築CGでも、通常の建築モデリングは3ds Maxなどで行い、複雑な装飾や自然物などをZBrushで作り込むといった使い分けができます。



ZBrushはどんな人におすすめ?向いている用途を解説


ZBrushは、ブラシを使って粘土を彫刻するように3Dモデルを造形できる、デジタルスカルプティングに強みを持つソフトウェアです。特に有機的な形状や細かなディテールの制作に適しており、映画・VFX、ゲーム、イラストレーション、3Dプリンティングなど幅広い分野で活用されています。


一方、CADやBIM、MayaやBlenderなどの総合3DCGソフトとは得意とする作業が異なります。ここでは、ZBrushがどのような人や制作に向いているのかを紹介します。



彫刻するような感覚で3Dモデルを作りたい人

ZBrushの大きな特徴は、ブラシを使ってモデルを押す、引く、盛る、削るといった操作で形状を作り込めることです。一般的なポリゴンモデリングとは異なり、形を見ながら直感的に造形を進められます。


ペンタブレットの筆圧にも対応しているため、イラストや彫刻などの感覚を生かしながら3Dモデルを制作したい人にも適しています。


キャラクターやクリーチャーを制作したい人

人物や動物、クリーチャーなど、複雑な曲面を持つ有機的なモデルはZBrushが得意とする分野です。顔や筋肉、皮膚のシワなどを細かく作り込めるため、映画・VFXやゲームで使用するキャラクター制作にも広く活用されています。


DynaMeshやSculptris Proなどを利用すれば、制作初期から細かなトポロジーを意識しすぎることなく、形状を大きく変化させながらデザインを検討できます。


細かなディテールまで作り込みたい人

ZBrushは高密度なメッシュを扱えるため、皮膚のシワや傷、布の質感、岩肌、彫刻などの微細な凹凸をモデルへ直接作り込めます。


通常のポリゴンモデリングでは制作に時間がかかる複雑な表面表現も、ブラシを使って造形できるため、ディテールを重視した3Dモデルを制作したい場合に適しています。


3Dプリント用のモデルを制作したい人

フィギュアや彫刻、ジュエリーなど、細かな造形を必要とする3Dプリント用モデルの制作にもZBrushを活用できます。


デジタル上で細部までスカルプトしたモデルを立体物として出力できるため、キャラクターフィギュアや造形作品など、複雑な形状を持つ3Dプリントデータの制作にも向いています。


建築CGに装飾や自然物を取り入れたい人

建築CGでは、建物全体の設計や基本的なモデリングよりも、彫刻、レリーフ、岩、地形、アートオブジェなど、複雑な形状を制作する場面でZBrushを活用できます。


たとえば、3ds MaxやMayaなどで建築物を制作し、細かな装飾や自然物だけをZBrushで作り込むといった使い分けが可能です。ZModelerやLive Booleanなどを利用すれば、有機的な造形だけでなくハードサーフェスの制作にも対応できます。


ZBrushより他のソフトが適している用途

ZBrushは自由度の高い造形を得意とする一方、すべての3DCG制作に適したソフトというわけではありません。目的によっては、CAD・BIMソフトや総合3DCGソフトを使用した方が効率的です。

制作目的

適したソフトの例

理由

正確な寸法による建築設計

AutoCAD、Revitなど

図面作成や寸法管理、建築情報の管理に適している

建築CG全体の制作

3ds Max、Cinema 4D、Blenderなど

建築モデリングからマテリアル、ライティング、レンダリングまで一連の作業を行いやすい

リギング・アニメーション

Maya、Blenderなど

キャラクターセットアップやアニメーション機能が充実している

彫刻・複雑な装飾・高精細モデル

ZBrush

スカルプティングと細かなディテール制作に強い

ZBrushは、特に自由な造形や複雑な形状、細かなディテールを作り込みたい場合に強みを発揮するソフトです。建築CGでは、3ds MaxやMayaなどを置き換えるというより、それらと組み合わせ、通常のモデリングでは作りにくい装飾や自然物などを制作するツールとして活用できます。



ZBrushの料金とライセンス体系


ZBrushのデスクトップ版は、2026年9月現在、サブスクリプション形式で提供されています。現在の主な契約方法は月額プランと年額プランで、以前販売されていた永続ライセンス(買い切り型)は新規購入できません。


ZBrushのサブスクリプションには、Windows・macOS向けのデスクトップ版に加えてZBrush for iPadも含まれています。そのため、デスクトップとiPadの両方を使って制作したい場合でも、ZBrushのサブスクリプションひとつで利用できます。


2026年9月時点の料金は以下のとおりです。なお、Maxon公式サイトでは地域によって価格や税額が異なり、為替レートによって価格が調整される場合があります。日本で購入する場合は、必ず購入時にMaxon公式ストアで表示される日本円価格を確認してください。

プラン

料金の目安

商用利用

特徴

月額サブスクリプション

49ドル/月

可

1か月単位で利用でき、短期間のプロジェクトなどに適している

年額サブスクリプション

399ドル/年

可

1年間継続して利用する場合、月額契約を12か月続けるより割安

Maxon One教育ライセンス

学生・教員向け特別価格

不可

ZBrushだけでなくCinema 4D、Redshift、Red Giantなども利用可能。有効期間は1年間

永続ライセンス

新規販売なし

―

過去に購入したライセンスは、購入済みバージョンを継続利用可能

※2026年9月時点。価格は地域・税・為替レートなどによって変動します。


月額サブスクリプション

月額プランは、必要な期間だけZBrushを使用したい場合に適しています。2026年9月時点の米国価格は49ドル/月です。


特定のプロジェクトで数か月だけ使用する場合や、まずZBrushを実制作で試してから長期契約を検討したい場合などに利用しやすいプランです。


年額サブスクリプション

継続的にZBrushを使用する場合は、年額プランを選択できます。2026年9月時点の米国価格は399ドル/年です。


月額49ドルを12か月利用すると年間588ドルになるため、1年間を通して使用するのであれば年額プランの方が料金を抑えられます。


また、現在のZBrushサブスクリプションにはZBrush for iPadも含まれているため、デスクトップで本格的な制作を行いながら、iPadでもスカルプトを続けるといった使い方ができます。


永続ライセンスは現在新規購入できない

ZBrushは以前、買い切り型の永続ライセンスも販売されていました。しかし、現在のデスクトップ版ZBrushはサブスクリプションのみとなっており、新しい永続ライセンスを購入することはできません。


なお、2021年12月のMaxonによるPixologic買収時に終了したのは、永続ライセンスそのものではなく、従来提供されていた新バージョンへの無償アップグレードです。その後もしばらく永続ライセンスは販売されていましたが、2023年末以降のZBrushはサブスクリプションのみで提供されています。


過去に永続ライセンスを購入している場合は、対象となる既存バージョンを引き続き利用できますが、現在のZBrush 2026など最新バージョンを利用するにはサブスクリプションが必要です。


学生・教員向けにはMaxon One教育ライセンスを提供

学生や教員向けには、ZBrush単体の教育版ではなく「Maxon One Educational License」が用意されています。


Maxon OneにはZBrushとZBrush for iPadのほか、Cinema 4D、Redshift、Red GiantなどMaxonの主要な制作ツールが含まれます。教育ライセンスの有効期間は1年間で、期間終了後も対象者であれば再度認証・申請できます。


ただし、教育ライセンスは学習目的に限定されており、クライアントワークや販売作品などの商用制作には使用できません。


どのプランを選べばいい?

ZBrushを短期間だけ使用するのであれば月額プラン、継続的に使用するのであれば年額プランが選択肢になります。


特に年額プランは、月額契約を1年間継続する場合と比較して年間コストを抑えられるため、仕事や作品制作で年間を通してZBrushを使用する場合に適しています。


学生や教員で学習目的に利用する場合は、ZBrushだけでなくCinema 4DやRedshiftなども利用できるMaxon One教育ライセンスを検討するとよいでしょう。


契約前に確認しておきたいポイント

ZBrushの料金は地域によって異なり、日本での販売価格は為替レートや税額などによって変更されることがあります。Maxon公式サイトでも価格が定期的な為替調整の対象になる場合があると案内されているため、記事に掲載されている金額だけで判断せず、契約時には公式ストアの最新価格を確認しましょう。


また、教育ライセンスは商用利用できません。Maxon公式によると、教育ライセンスは1年間有効で自動更新されず、継続する場合は資格確認を含む再申請が必要です。



まとめ


ZBrushは、デジタルスカルプティングを中心に、高精細なモデリングからペイント、レンダリングまで対応できる3DCG制作ソフトです。粘土を彫刻するような直感的な操作で複雑な形状を作り込めるため、キャラクターやクリーチャーはもちろん、彫刻や装飾、自然物など細かなディテールが求められる制作にも活用できます。


レンダリングでは、手軽に高品質なビジュアルを確認できるBPRに加え、Redshiftを利用したリアルな質感やライティング表現にも対応しています。ZBrushで造形したモデルをそのままレンダリングできるため、制作途中の確認から完成イメージの作成までスムーズに進められる点も特徴です。


建築CGでは、建物全体をZBrushだけで制作するというより、3ds MaxやMayaなどと組み合わせ、複雑な装飾や彫刻、岩などの自然物、アートオブジェといったパーツを作り込む用途に適しています。


細部までこだわった3Dモデルを制作したい方や、一般的なポリゴンモデリングでは表現しにくい形状に挑戦したい方は、ZBrushを3DCG制作のワークフローに取り入れてみてはいかがでしょうか。



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