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Blender入門|便利に使える初期設定【初心者向け】

2025年6月29日
読了時間: 24分

更新日:9月18日


Blenderは、3Dモデリングやアニメーション、レンダリングなど幅広い3DCG制作に対応した無料のオープンソースソフトウェアです。高機能でありながら無料で利用できるため、これから3DCG制作を始めたい方にも選択肢のひとつとなっています。


Blenderの特徴や機能について詳しく知りたい方は、最初に「Blenderとは?|機能を詳細解説」を参考にしてください。


一方、Blenderには多くの機能や設定項目があり、初めて起動したときに「どこから設定すればよいのかわからない」と感じることもあります。最初に日本語表示や操作方法、保存、レンダリングなどの基本的な設定を整えておくと、その後の作業を進めやすくなります。


この記事では、Blenderをインストールした後に確認しておきたい初期設定を、初心者の方にもわかりやすく画面付きで解説します。


※掲載している画面は記事制作時点のBlenderを使用しています。アップデートによって画面のデザインや項目の位置などが変更される場合がありますが、基本的な設定を行う際の参考としてご活用ください。


CONTENTS



Blenderを使うために必要なパソコンのスペック


Blenderをダウンロードする前に、使用しているパソコンのスペックを確認しておきましょう。


Blenderは比較的幅広いパソコンで起動できますが、「Blenderが動くこと」と「快適に制作できること」は同じではありません。


簡単な3Dモデルの作成であれば比較的低いスペックでも使用できますが、モデルが複雑になったり、高解像度のテクスチャ、アニメーション、物理シミュレーション、Cyclesによるレンダリングなどを使用したりすると、CPU・GPU・メモリなどに大きな負荷がかかります。

Blender公式サイトが現在案内している主な動作環境は次のとおりです。

項目

最低環境

推奨環境

CPU

4コア

8コア

メモリ(RAM)

8GB

32GB

GPU

2GB VRAM

8GB VRAM

ディスプレイ

―

1920×1080以上

マウス

2ボタンでも使用可能

3ボタンマウス推奨

Windowsの場合、公式の推奨OSはWindows 11です。macOSでは現在Apple Siliconが必要とされ、推奨メモリは32GBとなっています。なお、対応OSやGPUなどの要件はBlenderのアップデートに伴って変更されるため、ダウンロード前にBlender公式のシステム要件を確認してください。


最低スペックだけで選ばないことが大切

Blender公式の「最低環境」は、Blenderを動作させるための基準です。

建築CGや本格的な3DCG制作を行う場合は、最低環境ではなく推奨環境をひとつの基準として考えるとよいでしょう。


特に注意したいのがメモリとGPUです。


Blender公式では32GBのRAMと8GBのVRAMを推奨しています。海外のBlender教育サイトCG Cookieでも、最低環境は簡単なプロジェクトには利用できるものの、複雑なシーンでは処理が遅くなる可能性があると説明されています。


実際の制作では、建物だけでなく家具、植栽、照明、マテリアル、高解像度テクスチャなどを追加するほど扱うデータ量が増えていきます。


アニメーションやシミュレーションでは、さらに高いスペックが必要になることも

Blenderでは、モデリングだけでなく、アニメーションや物理シミュレーション、流体、レンダリングなども行えます。


こうした処理では必要なハードウェア性能も変わります。Puget SystemsのBlender向けハードウェア検証では、モデリングやアニメーションではCPUのシングルコア性能が重要になる一方、レンダリングや流体シミュレーションでは多数のCPUコアを利用する処理があるとされています。


また、RAMはシミュレーションやレンダリングのキャッシュにも使用されます。メモリが不足するとストレージへの読み書きが発生し、処理速度が大きく低下する場合があります。

そのため、水・煙などのシミュレーションを含むアニメーションや、大規模な建築シーン、高解像度のレンダリングまで行う場合は、推奨スペック以上の環境が必要になることもあります。


レンダリングではGPUとVRAMも重要

Blenderのレンダリングエンジン「Cycles」では、CPUだけでなくGPUを利用してレンダリングできます。Blender公式マニュアルでも、GPUレンダリングによって処理を高速化できる一方、複雑なシーンではGPUのメモリ容量が制約になることが説明されています。


特に高解像度のテクスチャや多数のオブジェクトを使用するシーンでは、VRAMの使用量も増加します。


Puget Systemsも、必要なVRAM容量はプロジェクトの複雑さや最終的な解像度によって変わり、VRAMが不足するとシステムメモリを使用するためパフォーマンスが大きく低下するとしています。


そのため、建築CGや高解像度レンダリングを目的にパソコンを選ぶ場合は、CPUやRAMだけでなく、GPUの性能とVRAM容量も確認しておきましょう。


MacでBlenderを使用する場合

現在のBlenderはApple Silicon搭載Macに対応しており、CyclesではAppleのMetalを利用したGPUレンダリングにも対応しています。


MacではCPUとGPUがユニファイドメモリを共有するため、Windows PCの「RAM」と「VRAM」をそのまま同じ基準で比較することはできません。


ただし、複雑な3Dモデルや高解像度テクスチャ、アニメーションなどを扱うほど必要なメモリ量は増えるため、Blenderを本格的に使用する場合はメモリ容量にも余裕を持たせておくことが重要です。


これからBlenderを試してみたい場合は、まず現在使用しているパソコンが公式の動作要件を満たしているか確認し、建築CG、アニメーション、シミュレーションなど負荷の高い制作を予定している場合は、推奨環境を基準に余裕のあるスペックを検討するとよいでしょう。



Blenderをダウンロードする方法



公式ダウンロードページを開くと、使用しているOSに対応したBlenderをダウンロードできます。Windows、macOS、Linuxなどに対応しているため、自分のパソコンに合ったものを選択してください。



基本的には、特別な理由がなければ公式サイトで案内されている安定版を使用します。


Blenderでは通常リリースのほか、長期間の制作で安定した環境を維持しやすいLTS(Long-Term Support)版も提供されています。LTS版は、新機能やAPIの変更を追加せず、一定期間にわたって重要な修正を受けられるバージョンです。


ダウンロードしたファイルを開き、画面の案内に沿ってインストールを進めればBlenderを起動できます。


過去のバージョンをダウンロードする方法

Blenderでは最新版だけでなく、これまでに公開された過去のバージョンも公式サイトからダウンロードできます。


過去に公開されたBlenderが保存されているため、必要なバージョンを選んでダウンロードできます。Blender公式サイトでは、過去のリリースを継続してダウンロードできるようにしています。


過去に公開されたBlenderが保存されている
過去に公開されたBlenderが保存されている

通常は新しい安定版を使用すれば問題ありませんが、制作環境によっては過去のバージョンが必要になる場合があります。


たとえば、使用したいアドオンや拡張機能が新しいBlenderにまだ対応していない場合です。Blenderではバージョンアップに伴って拡張機能の仕組みやAPIなどが変更されることがあるため、既存の制作環境を維持する目的で対応しているBlenderを使用することがあります。実際にBlender 4.2ではExtensionsの導入に伴って従来のアドオンの仕組みに変更が加えられています。


また、以前のBlenderで制作したプロジェクトを当時と同じ環境で編集したい場合や、古いOS・ハードウェアを使用していて最新版の動作要件を満たしていない場合にも、過去のバージョンが必要になることがあります。Blenderは新しいバージョンになるにつれて対応OSやハードウェア要件が変更されるため、使用しているパソコンによって利用できるバージョンが異なります。


Blenderは古い.blendファイルとの互換性をできるだけ維持する設計になっていますが、新しいバージョンで保存したファイルを古いBlenderで開く場合は、機能やデータの一部が失われる可能性があります。特にメジャーバージョンをまたぐ場合には互換性に大きな変更が入ることもあるため、共同制作や既存プロジェクトでは、使用するBlenderのバージョンを確認しておくと安心です。


過去のバージョンが必要になる主なケース

  • 使用したいアドオンや拡張機能が最新版に対応していない

  • 過去のプロジェクトを制作時と同じ環境で開きたい

  • チームや取引先とBlenderのバージョンをそろえる必要がある

  • 使用しているOSやGPUなどが最新版の動作要件に対応していない

  • バージョンアップによる互換性の問題を避けながら既存プロジェクトを継続したい


初めてBlenderを使用する場合は、まず公式サイトで案内されている安定版を選び、過去のバージョンは必要になった場合に利用するとわかりやすいでしょう。



Blenderを起動したら最初にすること


Blenderをインストールして初めて起動すると、最初に基本的な設定を行う「Quick Setup(クイックセットアップ)」が表示されます。


ここでは、表示言語や画面のテーマ、キーボード・マウスの操作方法などを設定できます。これらの項目は後から「Preferences(プリファレンス)」で変更できるため、最初からすべてを細かく設定する必要はありません。


すでに以前のバージョンのBlenderを使用している場合は、以前の設定を引き継ぐための「Import Preferences From Previous Version」が表示されることがあります。この機能を使用すると、以前のバージョンで使用していたPreferencesやスタートアップファイル、インストール済みのアドオンや拡張機能などを新しいバージョンへ引き継ぐことができます。


ただし、古いアドオンや拡張機能の中には、新しいBlenderと互換性がないものもあります。新しくBlenderを使い始める場合は、そのまま新しい設定を作成して進めて問題ありません。


Quick Setupで設定できる主な項目

初回起動時には、主に次の項目を設定できます。

  • Language(言語):Blenderの画面に表示する言語を選択します。

  • Theme(テーマ):画面の配色を選択します。

  • Keymap(キーマップ):キーボードやマウスによる操作方法を選択します。


Blender公式マニュアルは標準の「Blender」キーマップを前提として説明されているため、特に理由がなければKeymapは「Blender」のまま進めると、公式マニュアルやチュートリアルと操作を合わせやすくなります。


初期設定を終えたら「Save New Preferences」を選択してBlenderの通常画面へ進みます。


なお、ここで設定した内容は後から変更できます。この記事では、初回起動時のQuick Setupだけに頼らず、通常画面から設定できる方法を中心に解説します。 一度Blenderを起動したことがある方も、同じ手順で設定を確認できます。


Blenderの初期設定は「Preferences」から変更できる

Blenderの基本的な設定は「Preferences(プリファレンス)」にまとめられています。


通常画面上部のメニューから、

Edit(編集)→ Preferences(プリファレンス)

を選択すると、設定画面が開きます。



Preferencesでは、言語や操作方法だけでなく、インターフェイス、キーマップ、保存、アドオン、システムなど、Blender全体に関するさまざまな設定を変更できます。



また、Preferencesで変更した設定は基本的に自動保存されるため、設定するたびに保存操作を行う必要はありません。

ここからは、Blenderを使い始める前に確認しておきたい初期設定を、実際の画面に沿って順番に設定していきます。



1|Blenderを日本語化する

Blenderの初期設定では、まず表示言語を確認しておきましょう。Blenderは日本語表示に対応しており、メニューやボタン、ツールチップなどを日本語に変更できます。

初回起動時の「Quick Setup」でも言語を選択できますが、ここでは一度Blenderを起動した後でも変更できる方法を紹介します。

画面上部のメニューから、

「Edit」→「Preferences」

の順にクリックします。


「Preferences」が開いたら、左側のメニューから「Interface」を選択します。

「Language」の項目を開き、表示される言語の一覧から「Japanese(日本語)」を選択してください。



日本語を選択すると、Blenderのインターフェイスを日本語で表示できるようになります。


日本語で表示
日本語で表示


翻訳する範囲も設定できる

Languageの下では、どこまで日本語に翻訳するかを設定できます。

項目

内容

Tooltips(ツールチップ)

ボタンや機能にマウスポインターを合わせたときに表示される説明が日本語になります。

Interface(インターフェイス)

メニューやボタン、パネルなどの表示が日本語になります。

New Data(新規データ)

新しく作成するデータブロックの名前にも翻訳が適用されます。

Blenderを初めて使用する場合は、「Interface(インターフェイス)」と「Tooltips(ツールチップ)」を日本語にしておくと、各機能の意味を確認しながら操作しやすくなります。



一方、Blenderの海外チュートリアルや英語の解説記事を参考にする場合は、英語のメニュー名で説明されていることも多くあります。その場合は、必要に応じて表示言語を英語へ戻すこともできます。Blenderの言語設定は、同じPreferencesからいつでも変更できます。


なお、現在のBlenderではPreferencesの変更内容は初期状態で自動保存されるため、通常は言語を変更した後に別途保存操作を行う必要はありません。



2|マウス・キーボードの操作環境を設定する

Blenderでは、3D空間の視点を回転したり、拡大・縮小したりしながら作業します。そのため、本格的に作業を始める前に、使用しているマウスやキーボードに合わせて操作環境を確認しておきましょう。


画面上部のメニューから、

「編集」→「プリファレンス」→「入力」

の順に開きます。



「入力」では、マウスやキーボードによる操作方法を設定できます。


テンキーがない場合は「テンキーを模倣」を設定する

Blenderでは、テンキーを使って3Dビューポートの視点を素早く切り替えることができます。


たとえばテンキーの「1」で正面、「3」で右側面、「7」で上面といったように、決まった方向からモデルを確認できます。テンキーの「2」「4」「6」「8」を使用して、視点を段階的に回転させることもできます。


ノートパソコンやテンキーのないキーボードを使用している場合は、「テンキーを模倣(Emulate Numpad)」を有効にすると、キーボード上部の通常の数字キーをテンキーとして使用できます。



ただし、この設定を有効にすると通常の数字キーがテンキーとして扱われるため、数字キーに割り当てられているほかの操作との使い分けには注意してください。


3ボタンマウスがない場合は「3ボタンマウスを再現」を利用する

Blenderでは、マウスの中ボタン(ホイールボタン)をドラッグすると3Dビューポートの視点を回転できます。また、Shift+中ボタンドラッグで平行移動、マウスホイールで拡大・縮小できます。


中ボタンのないマウスやポインティングデバイスを使用している場合は、「入力」にある「3ボタンマウスを再現(Emulate 3 Button Mouse)」を利用できます。

有効にすると、通常は中ボタンで行う操作をAlt+左クリックを使って操作できるようになります。



一般的なホイール付きマウスを使用している場合は、中ボタンをそのまま利用できるため、この設定を変更する必要はありません。


視点操作も確認しておく

Blenderの基本的な視点操作は次のとおりです。

操作

内容

中ボタンをドラッグ

視点を回転

Shift+中ボタンをドラッグ

視点を平行移動

マウスホイール

拡大・縮小

テンキー1

正面

テンキー3

右側面

テンキー7

上面

これらはモデリングだけでなく、建築CGのアングルを確認するときにも頻繁に使用する基本操作です。


選択したオブジェクトを中心に視点を回転する

3D空間での操作をしやすくしたい場合は、

「編集」→「プリファレンス」→「視点の操作」

を開き、「選択部分を中心に回転(Orbit Around Selection)」にチェックしておくのも便利です。



この設定を有効にすると、選択しているオブジェクトや要素を中心として視点が回転します。たとえば建物の一部分や家具などを選択した状態で周囲から形状を確認するときに、対象を見失いにくくなります。


Blenderにはほかにも視点操作に関する細かな設定がありますが、最初からすべて変更する必要はありません。まずは基本操作を使ってみて、操作しにくい部分があれば必要に応じて調整していきましょう。



3|自動保存とバックアップを設定する

Blenderで作業を始める前に、自動保存とバックアップの設定も確認しておきましょう。


3DCG制作では、モデリングやマテリアル設定、レンダリングなどに長い時間がかかることがあります。Blenderが突然終了したり、パソコンにトラブルが発生したりした場合に備えて、自動保存を有効にしておくと作業データを復元しやすくなります。Blenderには、自動保存のほか、以前の保存状態を残しておく「Save Versions」というバックアップ機能も用意されています。


画面上部のメニューから、

「編集」→「プリファレンス」→「セーブ&ロード」

の順に開きます。


自動保存を設定する

「セーブ&ロード」にある「自動保存(Auto Save)」を有効にすると、作業中のファイルが一定間隔で一時保存されます。


「タイマー(分)」では、自動保存を行う間隔を設定できます。間隔を短くすると、トラブルが発生した場合に失われる作業量を減らしやすくなりますが、大きなファイルでは保存処理による負荷が増える場合があります。制作するデータの大きさに合わせて調整してください。



なお、自動保存されるデータは、通常の「保存」で作成する.blendファイルとは別に、一時ファイルとして保存されます。自動保存だけに頼らず、作業中は通常の保存もこまめに行いましょう。 


「Save Versions」で以前の状態も残しておく

同じ「セーブ&ロード」にある「バージョンを保存(Save Versions)」では、通常の保存を行ったときに、以前のファイルをバックアップとして残す数を設定できます。



たとえばSave Versionsが「2」の場合、現在のファイルとは別に、

  • ファイル名.blend1

  • ファイル名.blend2

というバックアップファイルが作成されます。


.blendが最新の保存データ、.blend1がそのひとつ前、.blend2がさらにその前の保存状態です。間違えて上書きしてしまった場合などに、以前の状態へ戻すために利用できます。


自動保存したファイルを復元する方法

Blenderが突然終了した場合などは、通常画面の、

「ファイル」→「復元」→「自動保存」

から、自動保存されたファイルを探すことができます。


「ファイル」→「復元」→「自動保存」
「ファイル」→「復元」→「自動保存」

また、

「ファイル」→「復元」→「最後のセッション」

を選択すると、Blender終了時に保存されたquit.blendを読み込み、直前のセッションを復元できます。


「ファイル」→「復元」→「最後のセッション」
「ファイル」→「復元」→「最後のセッション」

ただし、自動保存では常にすべての履歴が残されているわけではありません。現行の公式マニュアルでは、プロジェクトごとに保持される自動保存ファイルは1つで、自動保存後に行った変更は復元できないと説明されています。また、Edit ModeやSculpt、Texture Paintでの変更など、自動保存に制限がある操作もあります。


そのため、Blenderで長時間作業するときは、通常の保存+Save Versions+自動保存を組み合わせておくと、作業データを失うリスクを減らせます。



4|「元に戻す」の回数を設定する

Blenderでモデリングや編集をしていると、「少し前の状態まで戻したい」という場面がよくあります。Blenderでは、一般的なソフトと同じように「Ctrl+Z」で直前の操作を元に戻す(Undo)ことができます。また、「Shift+Ctrl+Z」でやり直す(Redo)こともできます。


元に戻せる回数は設定で変更できます。


画面上部のメニューから、

「編集」→「プリファレンス」→「システム」

の順に開き、「メモリーと制限(Memory & Limits)」を確認します。


「元に戻す回数」を確認する

「メモリーと制限」にある「元に戻す回数」(Undo)では、Blenderが記録しておくUndoの回数を設定できます。



作業中に何度も形状を変更する3Dモデリングでは、Undoを繰り返して以前の状態まで戻ることがあります。Undoの履歴を多く残しておきたい場合は、この数値を増やすことができます。


海外のBlender専門教育サイトCG Cookieでも、Undo Stepsを増やすことで、より以前の制作段階まで戻れるようになることが紹介されています。


ただし、Undoの履歴はメモリを使用します。回数を増やせばよいというわけではなく、使用しているパソコンのメモリ容量や扱うデータの大きさに合わせて調整することが大切です。


Undoで使用するメモリ容量も設定できる

「アンドゥ回数」の下にある「『元に戻す』のメモリー制限(Undo Memory Limit)」では、Undo履歴に使用できるメモリ容量の上限をMB単位で設定できます。


「0」に設定すると、Undo履歴に使用するメモリ容量は無制限になります。



複雑な3Dモデルや大きなシーンを扱う場合は、1回の操作で記録されるデータも大きくなる可能性があります。パソコンのメモリに余裕がない場合は、Undo Stepsを必要以上に増やさず、制作環境に合わせて設定しましょう。


「グローバルアンドゥ」は基本的に有効のままでOK

同じ場所にある「グローバルアンドゥ(Global Undo)」は、編集モード以外で行った操作もUndoの履歴として保存するための設定です。



たとえば、オブジェクトの複製、パネル設定の変更、モードの切り替えなども記録されます。


Global Undoを無効にするとメモリの使用量を抑えられますが、「最後の操作を調整(Adjust Last Operation)」が正常に機能しなくなるなどの影響があります。Blender公式マニュアルでも、通常の使用では有効にしておくことが推奨されています。


そのため、Blenderを使い始めたばかりの場合は、Global Undoを変更せず有効のまま使用して問題ありません。


なお、Blenderでは「編集」メニューから「操作履歴(Undo History)」を開き、記録されている操作を確認しながら特定の時点まで戻ることもできます。単純にCtrl+Zを何度も押すより、複数の操作をまとめて戻したいときに便利です。



5|GPUレンダリングを設定する

BlenderでCyclesを使ってレンダリングする場合は、使用しているパソコンのGPUをレンダリングに利用できるか確認しておきましょう。


CyclesではCPUだけでなく、対応するGPUを使ってレンダリングできます。GPUは大量の計算を並列して処理することに適しているため、対応する環境ではレンダリング時間を短縮できる場合があります。


画面上部のメニューから、

「編集」→「プリファレンス」→「システム」

の順に開きます。


「Cyclesレンダーデバイス(Cycles Render Devices)」では、使用しているGPUに応じてレンダリングに使用するデバイスを設定できます。


使用しているGPUに合わせて方式を選択する

Cyclesで利用できるGPUレンダリングの方式は、GPUのメーカーやOSによって異なります。

GPUメーカー

Cyclesで使用する方式

NVIDIA

CUDA または OptiX

AMD

HIP

Intel

oneAPI

Apple

Metal

使用しているパソコンで利用可能な方式を選択すると、対応するデバイスが表示されます。レンダリングに使用したいGPUにチェックを入れて有効にしてください。



使用しているハードウェアが対応していない場合は、該当する設定が表示されないことがあります。



6|3Dビューポートの視点操作を設定する

Blenderでは、3Dモデルをさまざまな方向から確認しながら作業するため、視点の回転やズームの操作性も重要です。


画面上部のメニューから、

「編集」→「プリファレンス」→「視点の操作」

の順に開きます。



ここでは、3Dビューポートの回転方法やズーム方法などを設定できます。


「選択部分を中心に回転」を設定する

「選択部分を中心に回転(Orbit Around Selection)」を有効にすると、選択しているオブジェクトや要素を中心として視点を回転できるようになります。



通常の視点操作では、回転の中心と確認したいオブジェクトの位置がずれ、モデルを見失ってしまうことがあります。「選択部分を中心に回転」を有効にしておくと、選択したオブジェクトを中心にさまざまな角度から確認しやすくなります。


建築CGでも、家具や建物の一部分など、特定のオブジェクトを確認しながら作業するときに便利です。


ただし、大きな地形や非常に大きなオブジェクトでは、オブジェクトの中心が実際に確認したい場所と離れていることがあります。その場合は、必ずしも使いやすくなるとは限らないため、制作内容に合わせて切り替えることができます。


「マウス位置でズーム」を設定する

「マウス位置でズーム(Zoom to Mouse Position)」を有効にすると、画面中央ではなく、マウスポインターを置いている位置を中心にズームできるようになります。



たとえば建物の窓や家具などを拡大して確認したい場合、確認したい場所にマウスポインターを合わせてズームできるため、ズーム後に視点を移動する手間を減らせます。Blender公式マニュアルでも、頻繁にズームイン・ズームアウトするときにパン操作を減らすのに役立つ機能として説明されています。


「自動深度」と組み合わせる

「自動深度(Auto Depth)」を有効にすると、マウスポインターの下にある3D空間の奥行きを利用して、視点の移動・回転・ズームを調整します。



Blender公式マニュアルでは、「マウス位置でズーム」と組み合わせることで、マウスポインターの下にある場所へ素早くズームするときに便利とされています。


そのため、3D空間の操作に慣れていない場合は、

「選択部分を中心に回転」「マウス位置でズーム」「自動深度」

の3つを確認しておくと、目的の場所を見失いにくく、3Dビューポートを操作しやすくなります。


なお、「マウス位置でズーム」は便利な一方、状況によっては意図していない奥側の形状などを基準に視点が移動することがあります。使いにくいと感じた場合は、いつでも「プリファレンス」から無効にできます。



7|建築CGに合わせて単位を設定する

Blenderで建築物や家具などを実際の寸法に合わせて制作する場合は、モデリングを始める前に単位を確認しておきましょう。


Blenderでは、シーンごとにメートル法(Metric)やヤード・ポンド法(Imperial)などの単位系を設定できます。建築CGでは、図面に記載された寸法をもとにモデルを制作することも多いため、あらかじめ使用する単位をそろえておくと作業しやすくなります。


画面右側の「プロパティ」から、

「シーン」→「単位」

を開きます。





単位系を「メートル法」に設定する

「単位系(Unit System)」では、シーンで使用する単位を設定できます。

日本の建築CGで使用する場合は、「メートル法(Metric)」を選択すると、m、cm、mmなどの単位を使用できます。


Blenderでは主に次の3種類から選択できます。

単位系

内容

なし(None)

単位名を表示せずに数値で扱う

メートル法(Metric)

mm、cm、m、kmなどを使用する

ヤード・ポンド法(Imperial)

inch、ft、yard、mileなどを使用する


「長さ」で表示する単位を選択する

「長さ(Length)」では、画面上で表示する長さの単位を設定できます。


メートル法を選択した場合は、メートルやセンチメートルなどを指定できます。「適応(Adaptive)」を選択すると、入力した寸法の大きさに応じて23cmや10kmのように適切な単位が自動的に表示されます。


住宅や建物全体をモデリングする場合はメートル、家具や細かな部材などを扱う場合はセンチメートルやミリメートルなど、制作する対象に合わせて設定できます。


数値を入力するときに単位を直接指定できる

Blenderでは、設定している表示単位だけに限定されず、数値入力時に「cm」などの単位を直接入力することもできます。


たとえば、オブジェクトを正確に50cm移動したい場合など、数値と一緒に単位を指定して操作できます。Blenderの数値入力ではcmやinch、degなどの単位を扱えるため、図面の寸法を確認しながら正確なサイズでモデリングするときにも便利です。


「単位の倍率」は通常は変更しなくてOK

「単位の倍率(Unit Scale)」では、Blender内部の単位と画面に表示される値を変換する際の倍率を設定できます。


ただし、Unit Scaleは画面に表示される値に影響する設定であり、物理シミュレーションなどBlender内部のすべての処理そのものを変更するものではありません。


一般的な住宅や店舗、オフィスなどの建築CGを制作する場合は、基本的に初期値の「1.000」のままで問題ありません。


建築CGでは、後からシーン全体のサイズを調整するよりも、モデリングを始める段階で単位を確認し、実際の寸法を意識して制作しておくと、その後の家具配置やカメラ設定なども進めやすくなります。



8|よく使う設定を起動ファイルに保存する

Blenderでは、起動したときや新しいファイルを作成したときに表示されるシーンや画面構成を「起動ファイル(Startup File)」として保存できます。


たとえば、毎回削除しているオブジェクトがある場合や、よく使用するワークスペース、レンダーエンジン、単位設定などが決まっている場合は、自分が作業しやすい状態をスタートアップファイルとして保存しておくと便利です。


作業しやすい状態を作る

まず、Blenderを普段使いたい状態に整えます。

たとえば、次のような内容をあらかじめ設定できます。


・最初から配置されているオブジェクトを削除する

・よく使用するオブジェクトを配置しておく

・レンダーエンジンを設定する・シーンの単位を設定する

・ワークスペースやエディターの配置を整える

・カメラやライトをあらかじめ配置しておく


Startup FileにはシーンだけでなくUIの状態も保存されるため、自分の作業内容に合わせた環境を作ることができます。


起動ファイルとして保存する

設定が完了したら、画面上部のメニューから、

「ファイル」→「デフォルト」→「起動ファイルを保存」

を選択します。

確認画面が表示されたら、保存を実行します。


例えば、新しいプロジェクトを始める際、デフォルトでキューブが毎回画面表示されます。

削除したい場合は、キューブを選択してから「X」キーを押して削除します。





これで現在のシーンとUIの状態がStartup Fileとして保存され、次回Blenderを起動したときや「ファイル」→「新規」から新しいファイルを作成したときに、保存した状態から作業を始められます。


初期状態に戻すこともできる

スタートアップファイルを変更した後でも、Blender本来の初期状態に戻すことができます。


画面上部のメニューから、

「ファイル」→「デフォルト」→「初期設定を読み込む」

を選択すると、Startup FileとPreferencesをBlenderの初期設定に戻せます。


なお、初期設定を読み込んだだけではPreferencesは自動保存されません。初期状態を今後も使用する場合は、必要に応じて設定を保存してください。


毎回同じ設定やシーンを準備している場合は、スタートアップファイルを利用することで、Blenderを起動するたびに同じ作業を繰り返す手間を減らせます。特に建築CGのように、単位やレンダー環境など一定の設定を繰り返し使用する場合に便利です。



まとめ


Blenderは無料で利用できる高機能な3DCGソフトですが、機能や設定項目が多いため、初めて使用するときは基本的な環境を整えてから作業を始めるとスムーズです。


この記事では、日本語化やマウス・キーボードの操作環境、自動保存、Undo、GPUレンダリング、3Dビューポートの視点操作など、Blenderを使い始める前に確認しておきたい初期設定を紹介しました。


建築CGを制作する場合は、特に単位の設定やGPUレンダリングの設定も重要です。実際の寸法を意識してモデリングできる環境を整え、使用しているパソコンのGPUを適切に設定しておくことで、その後のモデリングやレンダリングを進めやすくなります。


また、自分がよく使用する単位やレンダー環境、画面構成などが決まってきたら、スタートアップファイルとして保存しておくことで、毎回同じ設定を繰り返す手間も減らせます。


Blenderはアップデートによって画面や機能が変更されることがありますが、まずは基本的な設定を整え、実際に操作しながら自分の制作環境に合わせて調整していきましょう。




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