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建築CGパースの制作工程を公開

2024年1月9日
読了時間: 11分

更新日:9月13日



建築CGパースは、完成前の建物や空間を3DCGで表現し、完成後のイメージを視覚的に伝えるために活用されています。


制作では、図面などの資料をもとに建物をモデリングし、素材や色、照明、カメラアングルなどを設定しながら、リアルな建築CGパースへと仕上げていきます。


この記事では、データの準備からモデリング、マッピング、仕上げ、修正、納品まで、建築CGパースが完成するまでの制作工程を順番にわかりやすく解説します。



建築CGパースとは


建築CGパースとは、建物や室内の完成イメージを3DCGで表現した画像のことです。


図面だけではイメージしにくい建物の外観や室内空間を立体的に表現でき、建物の形状だけでなく、外壁や床などの素材、家具、照明、植栽、周辺環境なども含めて、完成後のイメージをわかりやすく伝えられます。


まだ建物が完成していない段階でも完成後のイメージを確認できるため、設計内容の確認やクライアントへの提案、広告・販促など、さまざまな場面で活用されています。


建築CGパースが使われる主な場面


建築CGパースは、設計内容を確認するためだけでなく、完成イメージをほかの人に伝えるための資料としても利用されています。

使用する場面

主な用途

設計・デザインの検討

建物の形状や内装、色、素材などの完成イメージを確認する

クライアントへの提案

図面だけでは伝わりにくい設計やデザインを視覚的に説明する

プレゼンテーション

コンペや企画提案などで建築計画のイメージを伝える

不動産の広告・販売

完成前の住宅やマンション、店舗などのイメージを紹介する

Webサイト・パンフレット

建築物や施設の完成イメージを広告・販促用のビジュアルとして使用する


建築CGパースには外観と内観がある

建築CGパースには、大きく分けて「外観パース」と「内観パース」があります。


外観パースは、建物を外側から見た完成イメージを表現したものです。建物の形状や外壁、窓、屋根だけでなく、植栽や道路、空などの周辺環境も含めて表現できます。


外観パース
外観パース

内観パースは、建物の内部を表現したものです。住宅のリビングやキッチンをはじめ、店舗、オフィス、ホテルなどの室内空間を、家具や照明、床・壁などの素材とあわせて表現します。


内観パース
内観パース

このように建築CGパースを活用すると、図面だけでは想像しにくい建物や空間の完成イメージを、より具体的に共有できます。



建築CGパースの制作前に必要なデータ


建築CGパースを制作するには、建物の形状や大きさ、デザインなどがわかる資料が必要です。


必要なデータは、外観パース・内観パースのどちらを制作するか、図面や3Dデータが用意されているかなどによって異なります。


ここでは、建築CGパースの制作で使用される主なデータを紹介します。


図面がある場合

建築図面がある場合は、図面に記載された寸法や形状などの情報をもとに建物を3Dで作成します。

使用する主な図面には、次のようなものがあります。

図面の種類

確認できる主な情報

平面図

部屋の配置、壁や開口部の位置、寸法など

立面図

建物を外側から見た形状、窓やドアの位置、高さなど

断面図

建物内部の高さ、階高、天井、床などの関係

配置図

敷地内での建物の位置や道路、外構などとの関係

制作するパースの内容によって必要な図面は異なります。外壁や床などの仕上げ、使用する素材、色などがわかる資料がある場合は、それらも完成イメージを再現するための参考になります。


図面がない場合

図面がない場合でも、建物や室内の写真、寸法、参考画像などの資料をもとに建築CGパースを制作できる場合があります。


たとえば、既存の建物をCGで再現する場合は、建物をさまざまな角度から撮影した写真や、幅・高さなどの寸法がわかる情報が参考になります。

資料が少ない場合は、確認できない部分をどのように表現するかを制作前に確認しておくことが重要です。


3Dデータがある場合

すでに建物の3Dデータが作成されている場合は、そのデータを建築CGパースの制作に利用できることがあります。


既存の3Dデータを活用できれば、一から建物をモデリングする必要がなくなり、パース制作に必要な作業の一部を省略できます。


ただし、使用しているソフトやデータ形式、3Dモデルの状態などによっては、そのまま利用できず、データの変換や調整が必要になる場合があります。

そのため、3Dデータがある場合は、使用しているソフトやファイル形式などの情報もあわせて確認します。



データの準備


建築CGパースを制作するには、建物の形状や寸法、素材などを把握するための資料が必要です。用意するデータは、外観パースと内観パースで異なります。


外観パースでは、主に配置図・平面図・立面図・断面図・外構図などを使用します。内観パースでは、平面図・展開図・床伏図・配灯図・詳細図などが制作の基礎となります。


図面だけでは伝わりにくいデザインや素材、細かな納まりがある場合は、詳細図やスケッチ、参考画像なども用意しておくと、完成イメージをより正確に共有できます。


図面データがある場合

図面データが揃っている場合は、平面図や立面図、配置図などをもとに建物の形状を3Dで作成していきます。


制作会社へデータを渡す際は、PDFだけでなく、DXF・DWG・JWCなどのCADデータも用意しておくとスムーズです。CADデータを3Dソフトへ読み込むことで、寸法や形状を確認しながらモデリングを進められます。


また、CADデータとあわせて確認用のPDFを用意しておくと、図面の表示状態や設計内容を確認しやすくなります。特にディテールや細かな表現が必要な部分については、詳細図やスケッチ、参考画像などを追加することで、制作者と完成イメージを共有しやすくなります。


図面データがない場合

設計コンペや企画の初期段階などでは、建築CGパースを制作したい時点で十分な図面が揃っていないこともあります。


その場合でも、簡単なスケッチや寸法、参考画像などから制作できる場合があります。平面や立面がわかる簡易資料があれば、建物のおおまかな形状や規模を把握しやすくなります。


必要な資料は制作内容によって異なるため、図面が揃っていない場合は、手元にある資料で制作可能か事前に制作会社へ確認しておくとよいでしょう。


自作の3Dデータがある場合

すでにSketchUpや各種CAD・BIMソフトなどで3Dモデルを作成している場合は、そのデータを建築CGパース制作に活用できることがあります。


ただし、使用するソフトやデータ形式によっては、変換時に形状やマテリアルの情報が正しく引き継がれない場合があります。 また、パースとして仕上げるために、ディテールの追加やモデルの修正が必要になることもあります。


そのまま利用できない場合でも、3Dモデルがあれば建物の形状や設計意図を立体的に共有できるため、制作時の参考資料として役立ちます。



建築CGパースの制作フロー


必要な図面や資料が揃ったら、建築CGパースの制作に入ります。一般的には、図面をもとに建物を3Dでモデリングし、カメラアングルや素材、照明などを設定したあと、レンダリングと画像編集を行って完成させます。


制作会社や使用するソフト、プロジェクトの内容によって工程は異なりますが、ここでは一般的な建築CGパースの制作フローを5つの工程に分けて紹介します。



① モデリング作業からアングルの確定

まず、平面図・立面図・配置図などの図面をもとに、3DCGソフト上で建物や空間の形状を作成する「モデリング」を行います。



壁や床、天井、柱、窓、建具などを立体的に作成し、外観パースでは建物だけでなく、敷地や道路、外構など、画面に必要となる周辺部分も制作します。内観パースでは、造作家具や設備なども必要に応じてモデリングします。


特殊な形状や細かな納まりがある場合は、詳細図やスケッチなどを用意しておくことで、設計内容をより正確に3Dモデルへ反映できます。


基本的な形状ができたら、パースとして見せる範囲や視点を決めるために、3D空間上へカメラを設定します。建物全体を見せるのか、エントランスを中心に見せるのか、室内の広がりを表現するのかによって、同じ建物でも印象は大きく変わります。


制作会社から複数のアングル候補が提示される場合は、この段階で構図・視点の高さ・見せたい範囲などを確認し、最終的なアングルを決定します。


アングル確定後に大幅な変更を行うと、すでに作り込んだ部分以外のモデリングや素材設定が必要になる場合があります。そのため、完成したパースで「何を見せたいのか」を考えながら、早い段階でアングルを固めることが重要です。


② マッピング(色・素材)の設定

アングルが決まったら、図面や仕様書、素材資料などをもとに、建物の各部分へ色や素材を設定する「マッピング」を行います。



外壁のタイルや石、木材、金属、ガラス、床材、クロスなど、それぞれの面に適した素材を設定します。単に色を付けるだけではなく、表面の凹凸や光沢、反射、透明感などを調整することで、素材特有の質感を表現します。


たとえば、同じグレーでもコンクリートと金属では光の反射や表面の質感が異なります。こうした素材の特性を設定することで、3Dモデルがより現実の建築物に近い表現へと変わっていきます。


素材メーカーや使用製品が決まっている場合は、品番やカタログ、製品画像などを共有しておくと、完成イメージを合わせやすくなります。


素材を設定した段階で確認用の画像を作成し、色味や素材の組み合わせ、設計内容と相違がないかをチェックします。


③ ライティング・レンダリング・仕上げ

建物の形状や素材が整ったら、光の設定を行います。



外観パースでは太陽の方向や時間帯、空の明るさなどを設定し、内観パースでは自然光に加えて、ダウンライトやペンダントライトなどの人工照明も調整します。光の方向や強さによって陰影や素材の見え方が変わるため、ライティングはパース全体の印象を左右する重要な工程です。


さらに、家具や照明器具、小物、植栽など、アングル内に必要な要素を配置しながら細部を仕上げていきます。


3D空間での設定が完了したら、「レンダリング」と呼ばれる演算処理を行います。レンダリングでは、設定した形状・素材・光・カメラなどの情報をもとに、最終的な一枚の画像を生成します。


レンダリング後は、必要に応じてAdobe Photoshopなどの画像編集ソフトを使用し、明るさや色調、コントラストの調整、人物や樹木、空などの合成を行います。この仕上げ工程は「ポストプロダクション」と呼ばれ、建築CGパースの完成度を高める重要な工程です。レンダリング後に画像編集・合成を行う工程は、建築ビジュアライゼーションで一般的に用いられています。


④ 修正・最終確認

仕上がった確認用画像をもとに、図面や仕様書と照らし合わせながら、建物の形状や素材、色、家具、照明などが正しく反映されているかを確認します。



修正が必要な場合は、「外壁をもう少し明るくする」「床材を指定した製品に変更する」といった変更箇所だけでなく、どのような仕上がりにしたいのか、修正の意図まで具体的に伝えると認識を合わせやすくなります。


また、複数の修正箇所がある場合は、画像や図面に番号や矢印などを書き込み、指示をまとめて共有するとスムーズです。


修正内容によっては、3Dモデルや素材、照明の設定を変更して再度レンダリングする必要があります。納期が決まっている場合は、修正と確認に必要な時間も含めてスケジュールを組んでおくことが大切です。


⑤ 納品

修正と最終確認が完了したら、建築CGパースの完成データが納品されます。


一般的にはJPEGなどの画像データで納品されますが、Webサイト、パンフレット、大判印刷など、使用する媒体によって必要な画像サイズや解像度、ファイル形式は異なります。


高解像度データやTIFFなど特定のファイル形式が必要な場合は、制作を依頼する段階で用途を伝えておくとスムーズです。


また、制作会社によっては画像データだけでなく、印刷やパネル出力、額装などに対応している場合もあります。納品形式や対応範囲については、事前に確認しておきましょう。



まとめ


建築CGパースは、図面や資料の準備から始まり、モデリング、アングルの決定、マッピング、ライティング、レンダリング、仕上げ、修正といった工程を経て完成します。それぞれの工程を順番に進めることで、設計内容を反映した完成イメージへと仕上げていきます。


制作をスムーズに進めるためには、平面図・立面図・配置図などの図面に加え、素材や仕様、細かなデザインを確認できる資料をできるだけ整理しておくことが大切です。図面が十分に揃っていない場合や自作の3Dデータがある場合も、手元にある資料を制作会社と共有することで、必要な情報を確認しながら進められます。


また、アングルや素材、色、照明などは建築CGパースの印象を大きく左右します。制作途中の確認画像をチェックし、修正内容や完成イメージを具体的に共有することも重要です。


必要なデータを事前に整理し、各工程で完成イメージを確認しながら進めることで、建築CGパース制作をよりスムーズに進行し、目的に合ったクオリティの高いビジュアルにつなげることができます。

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