3ds MaxとMayaの違いを徹底比較|特徴・機能・おすすめのユーザーを解説
- KIMURA Tetsuya
- 7月12日
- 読了時間: 8分

3ds MaxとMayaは、どちらもAutodesk社が提供するプロフェッショナル向けの3DCG制作ソフトであり、建築ビジュアライゼーションやキャラクターアニメーション、映画・ゲーム制作など幅広い分野で活用されています。
一見似たような2つのソフトですが、モデリングやアニメーションの得意分野、操作性、拡張性にはそれぞれ明確な個性と違いがあります。
この記事では、3ds MaxとMayaの特徴や機能、そしてどんなユーザー・用途に向いているかを徹底比較し、「どちらを選ぶべきか」を迷っている方が判断しやすい情報をまとめています。ツール選びの参考に、ぜひお役立てください。
3ds MaxとMayaの基本情報
Autodeskが提供する3ds MaxとMayaは、どちらもプロ向けのハイエンド3DCGソフトウェアですが、その設計思想や用途には明確な違いがあります。それぞれの強みを理解することで、自分に最適なツールが見えてきます。
3ds Max|直感的に形を作り込む、ビジュアライゼーション重視
3ds Maxは、特に建築ビジュアライゼーション、製品デザイン、ゲームアセット制作の分野で高い評価を得ています。直感的で操作しやすいモデリング機能と、柔軟な履歴管理(Modifier Stack)により、細かな調整や修正を重ねながら作業を進めることができます。
また、標準搭載されているArnoldレンダーとPBRマテリアル対応のインタラクティブビューポートを組み合わせることで、光の挙動や質感を確認しながらリアルなビジュアルを効率的に仕上げることができます。こうした特長が、建築パースや広告ビジュアル、プロダクトデザインの現場で選ばれる理由となっています。
3ds Maxの主な強み
柔軟で効率的なポリゴンモデリングと履歴管理機能
建築や製品デザインに最適なリアルなビジュアライゼーション性能
初心者からプロまで使いやすい直感的な操作感
Maya|アニメーターやVFXに選ばれる、アニメーション重視
Mayaは、キャラクターアニメーションや映像制作、ゲーム開発の分野で業界標準ともいえる存在です。キーフレームアニメーション、リギング、モーションキャプチャといったキャラクター制作用のツールセットが非常に充実しており、映画・テレビ・ゲームスタジオでの導入実績が豊富です。
さらに、Bifrostによる流体、煙、布といった高度な物理シミュレーション機能を標準で搭載。ノードベースの設計とMEL・Pythonによるスクリプト対応により、大規模プロジェクトやスタジオのパイプラインに柔軟に対応できるのもMayaの大きな強みです。
Mayaの主な強み
業界標準のキャラクターアニメーション・リギング機能
高度な物理シミュレーションで自然な動きを表現可能
ノードベース+スクリプト対応の高い拡張性と柔軟性
3ds MaxとMayaの主要な違いを比較

3ds MaxとMayaはどちらもハイエンドな3DCG制作ソフトですが、得意分野や操作性、拡張性には明確な違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、用途やプロジェクトに合った最適な選択がしやすくなります。
モデリング・アニメーションの違い
3ds Maxは、特にポリゴンモデリングやスプラインモデリングに強みがあります。建築ビジュアライゼーションやプロダクトデザイン、ゲームの背景や小物など、形を作り込みたいプロジェクトで力を発揮します。Modifier Stackを使った履歴管理で、調整や戻し作業も効率的に行えます。
一方のMayaは、キャラクターアニメーションやリギング、モーションキャプチャといった動きの表現において業界標準とされるツールです。キーフレームアニメーションや複雑なボーン構造の設定が得意で、映画やゲームのキャラクター制作で採用されています。
ワークフローと操作性の違い
3ds Maxは、直感的でビジュアル的にわかりやすいUIが特徴です。Modifier Stackでの作業履歴管理やモディファイヤ適用の柔軟さにより、特にモデリング作業で操作のしやすさを感じるユーザーが多いです。
Mayaはノードベースの設計を採用しており、複雑なシーンやエフェクトの構築、パイプライン統合での自由度が高いのが特徴です。MELやPythonによるスクリプトカスタマイズも強力で、大規模プロジェクトやスタジオでの制作に適しています。
エフェクト・物理シミュレーションの違い
3ds Maxも物理ベースのシミュレーションやパーティクル表現が可能ですが、Mayaは特にBifrostによる流体・煙・布といった自然な動きの表現に優れています。映画や映像作品で、複雑なダイナミクスが求められる現場で選ばれる理由です。
比較項目 | 3ds Max | Maya |
得意分野 | ポリゴンモデリング、建築・製品ビジュアライゼーション | キャラクターアニメーション、VFX、物理シミュレーション |
操作性・ワークフロー | Modifier Stackで履歴管理がしやすく、直感的な操作感 | ノードベース+スクリプトで高い拡張性と柔軟性 |
物理シミュレーション | 標準機能で基本的なシミュレーションに対応 | Bifrost標準搭載で高度なダイナミクス表現が可能 |
料金・ライセンスの比較

3ds MaxとMayaはともにサブスクリプション制で提供されており、日本国内の価格はそれぞれ以下の通りです。この記事ではAutodeskおよび国内正規販売店情報を参考に、2025年6月時点の税込価格を示しています。契約前には必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
ソフト/プラン | 月額(税込) | 年額(税込) | 3年契約(税込) | Indie版年額(税込) |
3ds Max | 36,300円 | 286,000円 | 858,000円 | 42,900円 |
Maya | 39,600円 | 312,400円 | 938,300円 | 312,400円 |
どちらのソフトも、長期契約を前提とする場合は年間プランや3年プランの方が月額換算で割安になり、コストパフォーマンスに優れています。特にプロジェクトが継続する予定がある場合や、長期的な運用を見据えている場合には年間契約以上のプランが現実的な選択肢となるでしょう。
また、個人クリエイターや小規模な事業者向けには、条件を満たせばIndie版を利用できるケースがあります。Indie版は標準版に比べて大幅に価格が抑えられており、コストを重視する方にとって魅力的なプランと言えます。契約条件や収益制限は必ず事前に確認し、自身の利用状況に合ったプランを選ぶことが大切です。
Autodesk製品には、教育機関向けや学生向けに特別なライセンスプランが用意されている場合があります。講座受講や学習目的に限った特例価格となるため、詳細は公式の教育ライセンス案内ページをご確認ください。
こんな人におすすめ!3ds Max・Mayaの選び方ガイド

3ds MaxとMayaはどちらも高性能な3DCG制作ツールですが、それぞれの強みや得意分野に応じて向いているユーザー像が異なります。あなたの制作目的や作業スタイルに合ったソフトを選ぶ参考にしてください。
3ds Maxがおすすめの人
3ds Maxは、建築ビジュアライゼーション、製品デザイン、ゲーム背景や小物のモデリングなど、形を作り込み、ビジュアル表現を重視するプロジェクトに向いています。直感的な操作感と、履歴管理がしやすいModifier Stackによって、モデリング初心者から経験豊富なプロまで幅広く選ばれています。
こんな方に向いています!
建築パースや製品ビジュアルの制作を中心に考えている人
モデリング作業を効率的かつ柔軟に進めたい人
視覚的にわかりやすいUIで作業を進めたい人
Mayaがおすすめの人
Mayaは、キャラクターアニメーション、リギング、モーションキャプチャ、VFX制作など、動きや演出を伴う映像制作に強みを持っています。映画やゲームのキャラクター表現、流体や煙、布の動きといった複雑なシミュレーションを必要とするプロジェクトで力を発揮します。スタジオや大規模プロジェクトでの柔軟なパイプライン対応も評価されています。
こんな方に向いています!
キャラクターアニメーションやVFX制作に取り組む人
動きや演出にこだわった映像表現を追求したい人
スクリプトやカスタマイズを駆使し、大規模な制作環境で活用したい人
3ds Maxはビジュアライゼーションやモデリングに強く、MayaはアニメーションやVFXに強いという方向性が基本です。作りたいものやプロジェクトの内容を見極め、目的に合ったツールを選ぶことで、より効率的で満足度の高い制作が可能になります。
まとめ

3ds MaxとMayaはどちらも高機能な3DCG制作ツールであり、プロフェッショナルの現場で長年選ばれ続けてきました。それぞれの得意分野や操作性、拡張性には明確な違いがあり、目的やプロジェクト内容に応じて最適な選択が求められます。
3ds Maxは、ビジュアライゼーションやモデリングを重視する方にとって、直感的で効率的な作業環境を提供します。建築パースや製品デザイン、ゲーム背景制作などに適しており、視覚的にわかりやすいUIや履歴管理のしやすさが強みです。
一方、Mayaは、キャラクターアニメーションやVFX、複雑なシミュレーションを必要とする方におすすめです。映像表現や演出、動きの表現に力を入れたい場合、柔軟な拡張性や高精度なアニメーション機能が力を発揮します。
どちらのソフトも高額な投資となるため、体験版やデモ版を試し、自分の作業スタイルに合う操作感や機能を確かめるのも有効です。目的に合ったツールを選び、あなたのクリエイティブの幅を広げる一歩にしてください。