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建築パースにおける用途別アスペクト比を解説

2024年1月9日
読了時間: 11分

更新日:6 日前


建築パースを制作する際、意外と重要になるのが「アスペクト比」です。


アスペクト比とは、画像や画面における縦と横の長さの比率のこと。同じ建築パースでも、横長・縦長・正方形など比率が変わることで、構図の見え方や空間の印象は大きく変わります。


また、WebサイトやSNS、広告、プレゼンテーション、印刷物など、建築パースを使用する媒体によって適したアスペクト比も異なります。せっかく高品質なパースを制作しても、用途に合わない比率ではトリミングによって重要な部分が切れてしまったり、レイアウトしにくくなったりすることがあります。


この記事では、建築パースでよく使われるアスペクト比の基本から、それぞれの特徴、用途に応じた選び方までわかりやすく解説します。



アスペクト比とは?

アスペクト比とは、画像や画面における「横幅」と「高さ」の比率を表したものです。一般的には「16:9」「4:3」「1:1」のように、「横:縦」の比率で表します。


たとえば16:9は横に広い画面、1:1は縦横が同じ正方形になります。同じ建築パースでも、アスペクト比によって画面に収まる範囲や構図が変わるため、建物や空間の見え方にも違いが生まれます。


建築パースでは、完成した画像をWebサイトやSNS、広告、プレゼンテーション、印刷物など、さまざまな媒体で使用します。そのため、制作前に「どこで、どのように使用するのか」を確認し、用途に適したアスペクト比を設定することが重要です。


また、同じパースを複数の媒体で使用する場合は、後からトリミングすることも考慮し、重要な建物や家具などが画面の端に寄りすぎないよう構図を調整しておくと活用しやすくなります。



主なアスペクト比


画像や映像ではさまざまなアスペクト比が使われていますが、建築パースでは、使用する媒体や見せたい範囲に合わせて比率を選ぶことが重要です。


横長の比率は建物全体や室内の広がりを表現しやすく、正方形に近い比率は視線を中心に集めやすいなど、アスペクト比によって構図のつくり方や受ける印象も変わります。


ここでは、建築パースでも使用される代表的なアスペクト比である「1:1」「4:3」「16:9」「2.35:1」について、それぞれの特徴を紹介します。


アスペクト比

形状・特徴

主な用途

建築パースでの使い方

1:1

正方形

InstagramなどのSNS投稿、Webコンテンツ

建物やインテリアの一部分を印象的に見せる場合に適している

4:3

やや横長

プレゼンテーション、タブレット、資料、Webコンテンツ

外観・内観ともに縦横のバランスを取りやすく、空間全体を見せやすい

3:2

横長

写真、印刷物、Webコンテンツ

写真に近い自然な構図をつくりやすく、建物と周辺環境をバランスよく収めやすい

16:9

ワイド

PCモニター、Webサイト、YouTubeなどの動画、プレゼンテーション

横方向の広がりを表現しやすく、外観・内観パースともに幅広く使用できる

9:16

縦長

Instagramリール・ストーリーズ、YouTube Shortsなど

スマートフォン向けの縦型コンテンツに適している

4:5

縦長

InstagramなどのSNS投稿

スマートフォン上で大きく表示しやすく、建物の高さや縦方向の空間を見せやすい

2.35:1

非常に横長

映像、シネマティックなビジュアル

横に広がる建築やランドスケープ、都市景観などをダイナミックに表現しやすい



1:1

1:1のイメージ
1:1のイメージ

1:1は、横と縦の長さが同じ正方形のアスペクト比です。InstagramなどのSNSでも広く使われており、スマートフォンの画面でも比較的大きく表示できます。


建築パースでは、建物や空間の一部分を印象的に見せたい場合や、中心となる対象を明確に見せたい場合に適しています。一方で、横方向の広がりを見せられる範囲は限られるため、建物全体や広い室内を表現する場合には構図の工夫が必要です。


4:3

4:3のイメージ
4:3のイメージ

4:3は、16:9よりも縦方向に余裕のあるアスペクト比です。横方向だけでなく高さも画面に収めやすいため、建物の外観や室内空間をバランスよく表現できます。


建築パースでは、建物と周辺環境を一緒に見せたい場合や、床から天井まで室内全体を見せたい場合など、幅広い構図に対応しやすい比率です。


16:9

16:9のイメージ
16:9のイメージ

16:9は、現在のディスプレイや動画などで広く使われている横長のアスペクト比です。横方向の情報を多く収められるため、建築パースでも建物全体や広い室内空間を見せる際に適しています。


Webサイトやプレゼンテーション、動画などにも使用しやすく、建築パースでは汎用性の高いアスペクト比のひとつです。


2.35:1

2.35:1のイメージ
2.35:1のイメージ

2.35:1は、16:9よりもさらに横長のアスペクト比です。映画のようなワイドな画面をつくることができ、建物の横方向への広がりや周辺環境を含めたダイナミックな構図を表現できます。

建築パースでは、横に長い建物や広いランドスケープ、都市景観などを印象的に見せたい場合に適しています。ただし、使用する媒体によっては上下や左右に余白が生じることがあるため、最終的な掲載サイズを確認して使用することが重要です。



アスペクト比による見る側の印象の違い


アスペクト比が変わると、同じ建築や空間を描いたパースでも、画面に収められる範囲や構図が変わります。建物の横方向への広がりを見せる、高さを強調する、特定の場所に注目させるなど、何を伝えたいかによって適したアスペクト比も異なります。


まずは、画面の形による特徴と、建築パースで適した表現を見てみましょう。

画面の形

代表的な比率

構図・印象の特徴

建築パースで適した表現

横長

4:3、3:2、16:9

左右の広がりを見せやすく、開放感のある構図をつくりやすい

建物全体、広い室内、建物と周辺環境

縦長

4:5、9:16

上下方向を広く使え、高さや垂直方向の構成を見せやすい

高層建築、吹き抜け、階段、エントランス

正方形

1:1

画面内に対象をコンパクトにまとめやすい

ファサード、インテリア、家具、建物の一部分

超横長

2.35:1など

広い範囲を収めやすく、パノラマ感のある構図をつくりやすい

横長の建築、街並み、広場、ランドスケープ


横長のアスペクト比

4:3、3:2、16:9などの横長のアスペクト比は、左右に広い画面を確保できるため、建物の横方向への広がりや周辺環境との関係を表現しやすいことが特徴です。


外観パースでは建物と道路、植栽、隣接する建物などを一緒に収めやすく、内観パースではリビングやオフィス、店舗などを広く見渡す構図に適しています。



特に16:9はWebサイトやディスプレイ、プレゼンテーションなどでも使いやすく、建築パースでも幅広い用途に対応できます。


縦長のアスペクト比

4:5や9:16などの縦長のアスペクト比は、上下方向の画面を広く使えるため、建築物の高さや垂直方向の空間構成を見せやすいことが特徴です。



高層建築の外観をはじめ、吹き抜け、階段、エントランスホールなど、床から天井までの構成を見せたい場合にも適しています。


また、スマートフォンの画面を大きく使えるため、Instagramの投稿やストーリーズ、リールなど、モバイル向けコンテンツとの相性がよいことも特徴です。


正方形のアスペクト比

1:1の正方形は、縦横の長さが同じため、ひとつの対象を画面内にまとめやすいアスペクト比です。特徴的なファサードやエントランス、家具、インテリアなど、特定の場所やデザインを見せたい場合に適しています。



一方で、横に長い建物や高さのある空間では表示できる範囲が限られるため、何を主役として見せるのかを明確にして構図を決めることが重要です。


超横長のアスペクト比

2.35:1などの超横長のアスペクト比は、通常の横長画面よりもさらに左右へ広い範囲を収めることができます。



横方向に長い建物や複数の建物を含む街並み、広場、ランドスケープなど、スケールの大きな景観をひとつの画面で見せたい場合に適しています。


映画のようなワイドな画面構成をつくれるため、シネマティックで印象的な建築ビジュアルにも活用できます。ただし、掲載する媒体によっては画像が小さく表示されるため、最終的な使用環境を考慮して選ぶ必要があります。



用途別アスペクト比


建築パースに適したアスペクト比は、画像の見せ方だけでなく、掲載する媒体や使用目的によっても異なります。


Webサイト、SNS、プレゼンテーション、印刷物などでは、それぞれ表示されるスペースや推奨される画像サイズが異なるため、最終的な用途を想定してアスペクト比を決めることが重要です。


代表的な用途と、使用されるアスペクト比の目安をまとめると以下のようになります。

用途

主なアスペクト比

特徴・ポイント

印刷物

3:2、4:3など

紙面や掲載スペースに合わせて設定する。最終的な仕上がりサイズを事前に確認することが重要

Webサイト

16:9、3:2、4:3など

メインビジュアル、記事画像、施工事例など掲載場所によって適した比率が異なる

Instagram

1:1、4:5、9:16

フィード投稿は正方形・縦長、ストーリーズやリールは縦長が中心

X

横長、縦長など

投稿形式や表示環境によって見え方が変わるため、重要な要素を中央付近に配置すると使いやすい

YouTube

16:9、9:16

通常の動画は16:9、Shortsは9:16が基本

広告

媒体によって異なる

Web広告、SNS広告、印刷広告など掲載先の仕様に合わせて制作する

プレゼンテーション

16:9、4:3

現在は16:9が一般的。使用するディスプレイや既存資料によって4:3を使用する場合もある


印刷物

パンフレットやカタログ、ポスターなどの印刷物では、決まったひとつのアスペクト比を使用するのではなく、用紙サイズや誌面のレイアウト、画像を配置するスペースに合わせて比率を決めます。



建築パースを大きく掲載する場合は、紙面に合わせて3:2や4:3などの横長画像を使用することもあります。一方、縦位置のページや複数の画像を組み合わせるレイアウトでは、縦長や正方形に近い画像が適する場合もあります。


印刷用の建築パースを制作する際は、アスペクト比だけでなく、仕上がりサイズや必要な画像解像度まで確認しておくことが重要です。


Webサイト

Webサイトでは、ページのデザインや画像を掲載する場所によってさまざまなアスペクト比が使用されます。



たとえば、ページ上部のメインビジュアルでは横長の画像、施工事例や記事のサムネイルでは3:2や4:3など、Webサイトのレイアウトに合わせて建築パースを使い分けます。


また、WebサイトはPCだけでなくスマートフォンでも閲覧されるため、画面幅によって画像がトリミングされる場合があります。建物の重要な部分が切れないよう、レスポンシブ表示も考慮して構図を決めておくと安心です。


SNS

SNSでは、サービスによって適したアスペクト比が異なります。また、同じサービスでもフィード投稿、動画、ストーリーズなど、投稿形式によって画像の表示領域が変わります。



Instagramでは1:1の正方形や4:5の縦長画像がフィード投稿に使用され、ストーリーズやリールでは9:16の縦長フォーマットが使われます。スマートフォンの画面を大きく使えるため、縦長の建築パースを活用しやすい媒体です。


Xでは横長・縦長などさまざまな画像を投稿できますが、表示される場所や端末によって見え方が変わることがあります。そのため、建物などの重要な要素を画像の端に寄せすぎない構図にしておくと使いやすくなります。


YouTubeでは通常の動画に16:9、Shortsに9:16が使用されます。建築パースを動画やサムネイルに使用する場合は、最終的な動画フォーマットを想定して画像を制作することがポイントです。


広告

広告では、掲載する媒体によって求められるアスペクト比が大きく異なります。Web広告、SNS広告、デジタルサイネージ、雑誌広告、交通広告など、それぞれ掲載スペースや入稿仕様が決められているため、広告を掲載する媒体の仕様を確認してから建築パースを制作することが基本です。



また、広告では建築パースだけでなく、キャッチコピーやロゴ、商品・物件情報などを配置することもあります。画像だけで画面いっぱいに構成するのではなく、文字やグラフィックを配置するスペースまで考慮して構図を決める必要があります。


プレゼンテーション

建築やインテリアのプレゼンテーションでは、現在のワイドディスプレイとの相性がよい16:9が使いやすいアスペクト比です。PowerPointやGoogleスライドなどでも16:9のスライドを作成できます。



一方、既存のプレゼンテーション資料や使用する機器によっては4:3が使われる場合もあります。


建築パースをスライド全面に大きく表示する場合は、スライドと同じアスペクト比で制作しておくと、余白や大きなトリミングを発生させずに配置できます。文章や図面と組み合わせる場合は、スライド全体のレイアウトを想定して、建築パースの構図や余白を調整することが重要です。



まとめ


建築パースにおけるアスペクト比は、画像の見え方や構図だけでなく、建物や空間の魅力をどのように伝えるかにも関わる重要な要素です。


横長のアスペクト比は建物や空間の広がりを見せやすく、縦長は高さのある建築や吹き抜けなどの表現に適しています。また、正方形や超横長など、比率によって画面に収められる範囲や適した構図も変わります。


さらに、Webサイト、SNS、広告、プレゼンテーション、印刷物など、使用する媒体によって適したアスペクト比は異なります。制作後に大きなトリミングが必要になったり、重要な部分が切れてしまったりしないよう、建築パースを制作する前に用途や掲載場所を確認しておくことが大切です。


アスペクト比に絶対的な正解があるわけではありません。「どこで使用するのか」と「何をどのように見せたいのか」の両方を考え、建築パースの目的に合ったアスペクト比を選びましょう。

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